一般市民向けうつ病教育講演、その意義を検証:琉球大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/04/07 自殺予防のための効果的な戦略を確立することは急務である。うつ病に対するスティグマは、自殺の潜在的なアンチ防御因子となりうる。琉球大学の薬師 崇氏らは、オリジナルな18項目のアンケートを用いて、一般集団におけるうつ病に対する認識や考え方、うつ病治療についてベースラインレベルを調査し、検証を行った。また、2種類の教育介入を行い、これら講演の質の違いを明らかにするため検討を行った。BMC health services research誌2017年2月10日号の報告。 対象者は、アンチスティグマを目的とした講演を受けた467人とそうでない講演を受けた367人の合計834人(男性:245人、女性:589人)。講演の前後に、うつ病に対する認識や考え方、うつ病治療についてのレベルを評価する18項目のアンケートを実施した。対象者のバックグラウンドデータのカテゴリ変数を調べるために、カイ二乗検定を用いた。18項目のアンケートは、ベースラインスコアの因子分析を行った。性別の影響に関する分析にはStudent's t検定を用いた。5つの年齢群による比較および2つの講演の影響を比較するために二元配置分散分析(ANOVA)を用いた。介入後に改善された認識の決定要因は、重回帰分析を用いて調べた。 主な結果は以下のとおり。 ・うつ病に対する一般の認識は、以下の4つの要素から成り立っていた。 ●疾患モデルの認識 ●援助を求める行動 ●うつ病に対するネガティブな影響 ●非薬物療法のソリューション ・高齢者では、疾患モデルの認識が悪く、うつ病に対するネガティブな影響が大きく、若年者は、援助を求める行動が劣っていた(p<0.05)。 ・アンチスティグマを目的とした講演は、そうでない講演よりも、疾患モデルの認識や非薬物療法のソリューションの改善において優れていた(p<0.05)。 ・重回帰分析では、講演後の各サブスケールスコアは、ベースラインのサブスケールスコアに強く依存し(p<0.01)、ベースラインの疾患モデルの認識も、うつ病に対するネガティブな影響および非薬物療法のソリューションの講演後のスコアに影響を及ぼした(p<0.01)。 著者らは「教育的介入は、医療モデルにおけるうつ病に対する正しい認識を得るために、有用であると考えられる。しかし、とくに若年層では、援助を求める行動への理解を強化するための他の戦略を考慮する必要がある」としている。 関連医療ニュース たった2つの質問で、うつ病スクリーニングが可能 親の精神疾患を子供はどう思っているか 自殺企図後も生き続けるためのプロセス (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Yakushi T, et al. BMC Health Serv Res. 2017;17:126. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)