大量飲酒で悪性前立腺がん(APC)リスクがわずかに増加することが最近の研究で示されているが、飲料の種類ごとの関連は一致していない。今回、オーストラリア・Cancer Council VictoriaのN P Papa氏らが調査したところ、ビールでは摂取量がAPCリスクと相関し、スピリッツでは摂取量に相関する可能性が示され、ワインでは用量反応関係はみられなかった。また、ビールを週5日以上飲む人は飲まない人に比べてAPCリスクが高かったが、ワインを飲む人はすべての摂取頻度で、飲まない人に比べてAPCリスクが低かった。Prostate cancer and prostatic diseases誌オンライン版2017年4月18日号に掲載。
本研究は、自記式質問票を用いたケースコントロール研究で、APC 1,282例とコントロール951例が組み込まれた。登録前2年間の飲酒頻度・飲酒量とAPCの関連を調査し、ビール、赤ワイン、白ワイン、スピリッツの摂取との関係を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・ビールを週5日以上摂取していた場合、摂取していなかった場合に比べてAPCリスクが高かった(オッズ比[OR]:1.66、95%信頼区間[CI]:1.12~2.48)が、ワインでは、すべての摂取頻度で摂取していなかった人と比べて保護的であった。
・ビールによるエタノール摂取量が週に10g増加するにつれて、APCのオッズは3%上昇した(OR:1.03、95%CI:1.02~1.05)。このようなリスクの増加は、赤ワインや白ワインではみられなかったが、スピリッツではきわめて弱い用量反応関係がみられた(OR:1.03、95%CI:0.99~1.07)。
(ケアネット 金沢 浩子)