実臨床における抗精神病薬持効性注射剤のメリット 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/06/13 統合失調症における再発予防は、重要な目標である。しかし、統合失調症患者は抗精神病薬の服薬アドヒアランスが不良であり、それは度重なる再入院や実質的な治療費の負担をもたらす。イタリア・ASST-Monza Ospedale San GerardoのEnrico Biagi氏らは、統合失調症に対する長時間作用型持効性注射剤(LAI)抗精神病薬の文献レビューを行った。Advances in therapy誌2017年5月号の報告。 LAI抗精神病薬の開発以降に発表された臨床データをレビューし、統合失調症におけるLAI(とくにアリピプラゾールに焦点を当てた)と経口抗精神病薬の有効性の比較を調査した。エビデンスは、説明的な試験デザインと同様な、自然主義的/実用的な研究より抽出され、著者らの臨床経験により裏付けられた。 主な結果は以下のとおり。 ・LAI抗精神病薬は経口剤よりも利点があり、第1選択薬としての使用や若年患者への使用において良好なエビデンスが存在する。 ・主な第III相試験によると、アリピプラゾール月1回400mg(AOM400)は、効果的かつ忍容性が良好で、服薬アドヒアランスが高く再発率は低いとされている。 ・日常的な臨床実践をより代表する「自然主義的」試験デザインである最近の無作為化試験では、AOM400は良好な忍容性を示し、全体および35歳以下の若年患者でパリペリドンLAIよりも有効性が有意に高かった。 著者らは、「伝統的な臨床試験における有効性の“全スペクトラム”に及ぶ結果と、より自然主義的で実在の臨床実践における有効性の概念を包含する結果は、統合失調症全般における有用な長期治療選択肢としてAOM400の使用を支持していた。AOM400は、服薬アドヒアランスが不良または経口抗精神病薬治療が不十分な場合だけでなく、治療コースの初期段階においても有用である」としている。 ■関連記事 維持期統合失調症、LAI使用で注意すべきポイント:慶應義塾大 統合失調症のLAI切替、症状はどの程度改善するのか 統合失調症の短期治療、2つのLAIでみられる違い (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Biagi E, et al. Adv Ther. 2017;34:1036-1048. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)