ニボルマブ、進行肝細胞がんへの挑戦/ASCO2017 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/06/12 進行肝細胞がん(HCC)における1次治療薬の選択肢はソラフェニブ(商品名:ネクサバール)だけである。本年(2017年)レゴラフェニブ(商品名:スチバーガ)が2次治療薬として米国食品医薬品局(FDA)に承認されたが、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブはこれらの患者集団における新たな選択肢となるのだろうか。 Checkmate040試験は進行HCC患者に対するニボルマブ(製品名:オプジーボ)の第I/II相試験。シカゴにて開催された米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)で、米国Providence Cancer CenterのTodd S. Crocenzi氏らが発表した。 Checkmate040試験ではニボルマブ投与患者を、ソラフェニブ非治療群とソラフェニブ治療群に分け、さらに各群を用量漸増アーム(ニボルマブ投与量0.1~10mg/kg)と拡大アーム(ニボルマブ投与量3mg/kg)に分けて効果と安全性を評価している。今学会ではソラフェニブ非治療群と治療群の生存と効果の持続性の成績が発表された。主要評価項目は用量漸増アームでは安全性と忍容性、拡大アームでは奏効率(ORR)。副次的評価項目はORR(用量漸増アームのみ)、病勢コントロール率(DCR)、初回奏効までの期間、奏効期間(DOR)、全生存期間(OS)であった。 合計264例の患者が登録された。Child-Pughスコアは全例が5以上。多くの患者が重度の治療を受け、肝外転移を有していた。 盲検下独立中央判定(BICR)によるORRは、ソラフェニブ非治療群で20%、ソラフェニブ治療群の漸増アームで19%、同群の拡大アームでは14%であった。DCRは、ソラフェニブ非治療群で54%、ソラフェニブ治療群で55%であった。効果の発現は早く、客観的奏効を達成した患者のうち、ソラフェニブ非治療群の56%、ソラフェニブ治療群の64%が3ヵ月以内に奏効した。DORはソラフェニブ非治療群で17ヵ月、ソラフェニブ治療群では19ヵ月。OSはソラフェニブ非治療群で28.6ヵ月、ソラフェニブ治療群漸増アームでは15.0ヵ月、拡大アームでは15.6ヵ月であった。ニボルマブの効果は、ソラフェニブ治療経験の有無、HCCの病因またはPD-L1発現の有無とは無関係であった。また、ニボルマブの安全性プロファイルは、いずれの群でも既知のものであった。 現在、1次治療でのニボルマブとソラフェニブの第III相比較試験CheckMate459試験が進行中である。 ■参考 ASCO2017 Abstract Checkmate040試験(Clinical Trials.gov) ■関連記事 肝細胞がんに対するニボルマブの優先審査を受理:FDA (ケアネット 中野 敬子/細田 雅之) 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.2(2017/05/24) Dr.宮本のママもナットク!小児科コモンプラクティス (2017/04/07) Dr.たけしの本当にスゴい症候診断3 (2017/04/07) Dr.香坂のアカデミック・パスポート 「文献の引き方」から「論文の書き方」まで (2017/03/07) イワケンの「極論で語る感染症内科」講義 (2016/08/07) 感染症コンサルタント岸田が教える どこまでやるの!? 感染対策(2016/07/08) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31) フィーバー國松の不明熱コンサルト (2016/04/07) 化療スタンダードレジメン(2014/01/07)