うつ病患者への抗精神病薬処方は適切に行われているか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/08/02 成人うつ病のコミュニティ治療における抗精神病薬の役割を明らかにするため、米国・ラトガース大学のTobias Gerhard氏らが検討を行った。The Journal of clinical psychiatry誌オンライン版2017年7月5日号の報告。 US national Medicaid data(2001~2010)より、うつ病治療の新規エピソードを有する患者(ICD-9-CM:296.2、296.3、300.4、311)を特定した。統合失調症や双極性障害のような、ICD-9-CMで抗精神病薬治療適応症とされる患者は除外した。各患者は、抗精神病薬および抗うつ薬の特徴を明らかにするため、新たな抗精神病薬治療適応症が発現するまで1年以上追跡した。抗精神病薬治療開始後45日目までに別の適応症が認められない患者では、うつ病治療のために抗精神病薬を使用したと考えた。本研究の中では、抗精神病薬治療開始前に最小限の適切な抗うつ薬治療が行われていたかを、抗精神病薬治療開始日を含む31日以上の積極的な抗うつ薬治療と定義した。 主な結果は以下のとおり。 ・発症後1年以内に抗精神病薬の処方が開始された患者は、14.0%であった。 ・抗精神病薬治療開始患者の41.3%は、治療開始後45日以内にうつ病以外の抗精神病薬適応症を発症した。もっともよく認められた疾患は、双極性障害または精神病性うつ病であった。 ・抗精神病薬治療開始患者の残りの58.7%は、非精神病性うつ病であると考えられる。 ・このうち、抗精神病薬治療開始前に最小限の適切な抗うつ薬治療を行っていなかった患者は、71.3%であった。 著者らは「抗精神病薬は、新規エピソードうつ病患者の約7人に1人に使用されている。12人に1人の患者については、抗精神病薬の使用が非精神病性うつ病に向けられていると考えられる。これらの患者の約4分の3は、抗精神病薬治療開始前に最小限の適切な抗うつ薬治療が行われていなかった。この結果は、重大な副作用や医学的リスクを伴う薬効群が、潜在的に不相応および早期に使用されている可能性を示唆している」としている。 ■関連記事 精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か SSRI治療抵抗性うつ病に対する増強療法の比較 うつ病の薬物治療、死亡リスクの高い薬剤は (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Gerhard T, et al. J Clin Psychiatry. 2017 Jul 5. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 2型DMの血糖コントロールなど、予測モデルによる治療最適化で改善/Lancet(2025/03/10) 切除不能進行胃がん1次治療、sugemalimab追加でOS・PFS改善(GEMSTONE-303)/JAMA(2025/03/10) リファンピシン耐性キノロン感性結核に対する経口抗菌薬(解説:寺田教彦氏)(2025/03/10) TTF-1陰性Non-Sq NSCLCに対するアテゾリズマブ+カルボプラチン+nab-パクリタキセル(LOGIK2102)/日本臨床腫瘍学会(2025/03/10) 統合失調症の認知機能改善に対するメトホルミンの有用性(2025/03/10) EBウイルスが腎移植後のリンパ増殖性疾患に関与(2025/03/10) うつ病歴は慢性疾患の発症を早める(2025/03/10) 症状を電子的に報告するシステムががん患者の症状管理やQOLを改善(2025/03/10) 「善玉」コレステロールは緑内障リスクを高める?(2025/03/10) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)