てんかん患者は、一般人よりも医療ニーズが満たされていないと感じていると考えられる。カナダ・Schulich School of Medicine and DentistryのMayuri Mahendran氏らは、てんかん患者における医療ニーズが満たされていないと感じる理由について、システマティックレビューにより評価した。Epilepsy & behavior誌オンライン版2017年8月23日号の報告。
Medline、Embase、PsycINFO、Cochrane、Web of Science databasesより検索を行った。「unmet healthcare needs」「treatment barriers」「access to care」に関連するキーワードを使用した。本研究には、すべての国、成人および小児、調査研究および定性的研究を含めた(2001年以前の非英語研究は除外した)。満たされていないニーズの理由を抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・調査研究19件と定性的研究22件が抽出された。
・調査研究3件と定性的研究5件の併存疾患患者は除外した。
・てんかん患者における満たされていないニーズは、身体ケアよりも精神医療に関する研究が2倍多かった。
・欧米および発展途上国のどちらにおいても、医療サービスの可能性の乏しさ、アクセスの問題、医療情報不足が、満たされないニーズとして抽出された。
・米国に加え、ユニバーサルヘルスケアシステムを導入している国々において、医療サービスの欠如、待機時間の長さ、非協調的なケア、必要な医療情報の入手困難が抽出された。
・また一方、米国の研究においては、一般的にケア費用に関する満たされないニーズが報告されていた。
著者らは「本レビューは、さまざまな国のてんかん患者における満たされないニーズの理由を明らかにしており、改善するための具体的な介入の必要性を示唆している。いくつかの研究において合併症を伴うてんかん患者を除外したため、満たされないニーズは過小評価されている可能性がある。満たされないニーズへの合併症の影響、介護者や家族の要因との相互作用を確認するためには、さらなる研究が必要である」としている。
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