ISNTの法則――正常眼の場合、視神経乳頭辺縁部の厚さは、下方(inferior)>上方(superior)>鼻側(nasal)>耳側(temporal)の順である――は、緑内障診断のポイントの1つになっているが、米国・ハーバード医科大学のLinda Yi-Chieh Poon氏らによる調査の結果、正常眼でISNTの法則に当てはまったのは乳頭写真評価で約3分の1、網膜神経線維層厚測定では半分以下にすぎないことが明らかとなった。著者は、ISNT法則の変形版(ISTあるいはIS)が、70%以上に当てはまる有効な法則であることを示し、この方法を考慮する余地があるとまとめている。American Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年9月22日号掲載の報告。
研究グループは、正常眼の何%がISNTの法則に従うか、また、ISNT法則の変形が一般化できるかどうかについて横断研究を行った。
対象は健常者110例で、乳頭写真にて視神経乳頭辺縁部(以下、リム)の評価を行うとともに、スペクトラルドメインOCTにて網膜神経線維層厚(RNFL)を測定した。
主要評価項目は、ISNTの法則とその変形に従う被験者の割合である。
主な結果は以下のとおり。
・ISNTの法則が当てはまった被験者は、乳頭写真のリム評価で37.0%、RNFL測定で43.8%であった。
・ISNTの法則がリム評価およびRNFL測定の両方で当てはまらなかった大きな理由は、予想されるISNTのパターンより鼻側に偏向していたためであった。
・具体的には、被験者の10.9%は下方より鼻側が大きく、29.4%は上方より鼻側が大きく、14.7%は耳側より鼻側が狭く、そして、42.9%は耳側四半部と比較して鼻側のRNFLが薄かった。
・ISNTの法則から鼻側四半部を除外したISNT法則の変形は、有効性が顕著に増加した。すなわち、乳頭写真のリム評価ではIST法則に従った被験者が70.9%、IS法則が76.4%、RNFL測定ではそれぞれ70.9%および71.8%であった。
(ケアネット)