境界性パーソナリティ障害治療の現状

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/06

 

 境界性パーソナリティ障害(BPD)に対する薬理学的治療の傾向を調査し、これに伴う課題についてより焦点を当てるため、オーストラリア・シドニー大学のVladan Starcevic氏らが検討を行った。Current opinion in psychiatry誌オンライン版2017年10月11日号の報告。

 主な所見は以下のとおり。

・専門的ではあるが、BPD治療の中心となる心理療法は、第一選択治療と考えられている。向精神薬使用は承認されていないが、BPD管理のために医薬品が使用されている。
・BPDには、さまざまな向精神薬が使用されており、多剤併用も顕著である。
・BPDに対する抗うつ薬使用は少なからず減少しており、気分安定薬や第2世代抗精神病薬使用が増加している。
・BPDに対する薬物療法の有効性を示すエビデンスはほとんどない。臨床医は、BPDに対し完全に薬物療法を避けるか、的を絞ったアプローチを用い、必要に応じてBPDの特定の症状に対し特定の薬物療法を行うことが求められる。
・このことは、BPD治療の臨床実践において多少の混乱を招き、BPDに対する様々な薬物療法の実施に影響を及ぼしている。

 著者らは「BPDに対する薬理学的治療の有効性については、十分に計画された試験が必要である。臨床医は、BPDに対し薬物治療を行う際には、慎重かつ短期間で、主に症状緩和に対して行うべきである。また、進行中の薬物療法の必要性を常に検討し、多剤併用を避けるため、あらゆる努力を行うべきである」としている。

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(鷹野 敦夫)