治療抵抗性統合失調症、ECT併用は有益か 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/13 治療抵抗性統合失調症(TRS)治療は、現代の精神医学における挑戦である。TRS患者の多くは、重度の神経認知機能障害を有する。TRS治療において、電気ショック療法(ECT)は効果的かつ安全であることが証明されているが、潜在的な神経認知機能の副作用に関しては議論の余地がある。クロアチア・University Hospital Center ZagrebのBjanka Vuksan Cusa氏らは、TRS患者の認知機能に対する抗精神病薬とECT増強療法の影響について、プロスペクティブオープン研究より評価を行った。The journal of ECT誌オンライン版2017年10月19日号の報告。 対象は、TRS入院患者31例(平均年齢:34.1±11.187歳)。臨床症状評価、全般印象度評価、言語記憶、視覚記憶、ワーキングメモリ、精神運動速度、言語流暢性、実行機能について、ECT治療前後に評価を行った。 主な結果は以下のとおり。 ・一連のペアサンプルt検定を行い、多重比較のためBonferroni法の調整を行ったところ、レベルは有意に減少した(p=0.004)。 ・統計学的に有意な改善が認められた神経認知機能領域は、即時および遅発性の言語記憶と実行機能であった。視覚記憶および精神運動速度には統計的傾向が認められた。 ・いずれの神経認知機能も、ECT後に有意な悪化が認められなかった。 ・ECTは、統合失調症の一般的な症状改善に有効であり、その結果、PANSSの全体的な症状重症度の30%以上低下が認められた。 著者らは「本研究には制限があるにもかかわらず、抗精神病薬とECTの併用は、いくつかの神経認知機能領域を改善しており、認知機能悪化の根拠は認められなかった」としている。 ■関連記事 クロザピン関連遅発性ジスキネジアへの低用量アリピプラゾール 治療抵抗性統合失調症、クロザピン+フルボキサミンの効果は うつ病患者に対する継続ECTの新たな戦略 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Vuksan Cusa B, et al. J ECT. 2017 Oct 19. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 治療抵抗性統合失調症に対するECTの治療反応速度と臨床的有効性 医療一般(2019/05/22) 急性期および治療抵抗性統合失調症に対する抗精神病薬治療戦略~ガイドラインのレビュー 医療一般 日本発エビデンス(2021/10/15) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] クローズアップ!精神神経 7疾患(2021/01/26) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)