治療抵抗性統合失調症に対するECTの治療反応速度と臨床的有効性

提供元:ケアネット

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公開日:2019/05/22

 

 治療抵抗性統合失調症患者に対する電気けいれん療法(ECT)は、有効であることが示唆されているが、治療反応率、認知機能およびQOLのアウトカムに関するエビデンスは限られている。シンガポール・Institute of Mental HealthのChristopher Yi Wen Chan氏らは、治療抵抗性統合失調症患者を対象とした自然主義的レトロスペクティブコホート研究において、ECTの有効性および治療反応速度について検討を行った。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2019年4月26日号の報告。

治療抵抗性統合失調症へのECTで50%が治療反応

 レトロスペクティブにデータベース分析を行った。主要な有効性アウトカムは、BPRS精神症状サブスケールに基づき、治療開始前スコアからの40%以上の改善と定義した。分析対象患者は、まずDSM-5で統合失調症と診断され、2016年7月1日~12月1日までに治療抵抗性統合失調症と診断された患者または統合失調症治療のために急性期ECTが開始された患者とした。

 治療抵抗性統合失調症患者におけるECTの有効性を検討した主な結果は以下のとおり。

・分析対象患者は、入院患者50例であった。
・ECT完了後、治療抵抗性統合失調症患者の50%において、BPRS精神症状サブスケールスコアの40%以上減少が認められた。
・ETCによる治療反応が認められた治療抵抗性統合失調症患者の割合は、最初の3セッションで16.7%、6セッションで39.3%、9セッションで46.4%、12セッションで50%であった。
・BPRSスコアの最も大きな改善は、ECT治療3~6セッション間で認められた。
・BPRSスコア、臨床全般印象度(CGI)、認知機能評価(Montreal Cognitive Assessment)、機能の全体的評定(GAF)の有意な改善が認められた。
・QOLのアウトカムに有意な差は認められなかった。

 著者らは「本研究は、治療抵抗性統合失調症患者における最新の技術を用いて、ECT治療を受けている患者のリアルワールドでの有効性および治療反応率を示している」としている。

(鷹野 敦夫)