米国・Central Pennsylvania Eye CenterのGeorge O. Rosenwasser氏らは、デスメ膜剥離角膜内皮移植(DSAEK)の成功率が、ドナー角膜の保存期間の長さによらず同等であれば、ドナープールの拡大が可能なことから、3年成功率がドナー角膜の保存期間の長さに影響を受けるのか、多施設共同無作為化二重盲検非劣性試験にて検討した。その結果、DSAEKの3年成功率は保存期間によらず高かったが、保存期間が0~7日間に対する8~14日間の非劣性は認められなかった。保存期間が12~14日間の場合の成功率の低さ(89.3%)が影響したもので、著者は「保存期間が長いほど成功率は低いことが明らかになった。しかし、保存期間が11日までであれば成功率の差はわずかでアウトカムへの影響はほとんどない」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年11月10日号掲載の報告。
研究グループは、8~14日間保存のドナー角膜を用いたDSAEKの3年移植成功率が、7日間保存したドナー角膜を用いた場合と比較して非劣性であるかどうかを検証する目的で、2012年4月16日~2017年6月5日に、米国の40施設(眼科医70人)において無作為化二重盲検試験を実施した。ドナー角膜は、23ヵ所の米国アイバンクから提供された。
対象患者をドナー角膜の保存期間が0~7日間または8~14日間の2群に無作為に割り付け、DSAEKを行った。主要評価項目は、3年後の移植成功率であった。
主な結果は以下のとおり。
・計1,090例1,330眼(女性60.2%、男性39.8%、年齢中央値70歳[範囲42~90歳])にDSAEKが実施された(フックス角膜内皮変性症が1,255眼[94.4%])。
・3年累積移植成功率は、0~7日間群で95.3%(95%信頼区間[CI]:93.6~96.9%)、8~14日間群で92.1%(95%CI:89.9~94.2%)であった(群間差:3.2%)。
・群間差の片側95%CIの上限値は5.4%で、事前に設定した非劣性マージンの4%を上回り、8~14日間群の非劣性は示されなかった。
・両群の差は、主に8~14日間群でprimary donor failureが多かったことに起因しており、手術1ヵ月後の失敗の条件付き確率は0~7日間群2.4%、8~14日間群3.1%であった。
・事前に計画された2次分析の結果、保存期間の長さは移植成功率の低さと関連していた。保存期間が1日延長することによる移植失敗の補正前ハザード比は1.10(95%CI:1.03~1.18、p=0.008)であった。
・保存期間別の成功率は、0~4日間96.5%(95%CI:92.3~98.4%)、5~7日間94.9%(95%CI:92.5~96.6%)、8~11日間93.8%(95%CI:91.0~95.8%)、12~14日間89.3%(95%CI:84.4~92.7%)であった。
(ケアネット)