心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価、心臓MRIは有意義か?

提供元:ケアネット

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公開日:2018/01/16

 

 心臓サルコイドーシスは健康状態を悪化させ、死にもつながる疾患である。心臓に関連した症状がある患者の評価において、心臓MRIは重要な診断ツールであるが、これまでに使われてきたテストに加えてMRIを行うことが、心臓サルコイドーシスの診断に有用であるかは不明である。Vasileios Kouranos氏らによる本研究の目的は、心臓サルコイドーシスにおけるさまざまな検査の診断的価値を評価するとともに、心臓MRIの役割を示し、リスクが高い患者を特定することである。Journal of American College of Cardiology誌12月号に掲載。

サルコイドーシス患者321例の検査に心臓MRIを加え、予後をフォロー
 本研究では、生検でサルコイドーシスと診断された患者321例に対し、一般的な検査に加えて心臓MRIとガドリニウム遅延造影を行い、1次エンドポイント(全死亡率、持続性心室頻拍エピソード、心不全による入院)と2次エンドポイント(非持続性心室頻拍エピソード)を同定しながらフォローアップした。

心臓MRIは心臓エコーが正常な患者でも有用
 米国心臓不整脈学会(Heart Rhythm Society)のコンセンサス診断基準に基づき、29.9%が心臓サルコイドーシスと診断された。心臓MRIは最も感度が高く、特異的な検査であった(ROC曲線のAUC:0.984)。心臓MRIによって、心臓に関する症状があるか心電図異常を伴う、もしくはその両方を有するが心エコーが正常な44例に加え、無症状でほかの検査も正常だった15例においても心臓サルコイドーシスが確認された。心臓に関する病歴と心電図に心エコーを加えても、最初のスクリーニングにおける感度は変わらなかった(68.8% vs.72.9%)。一方で、高い陽性的中率(83.9%)にもかかわらず、心エコーは感度が低かった(27.1%)。フォローアップ期間中、患者の7.2%で1次エンドポイントが発生し、3.4%で2次エンドポイントが発生した。ガドリニウム遅延造影は1次エンドポイントの独立した予測因子であった(ハザード比[HR]:5.68、95%CI:1.74~18.49、p=0.004)。ガドリニウム遅延造影、年齢、ベースラインで非持続性心室頻拍を有していることが、すべてのイベントに対する独立した予測因子であった。心臓に関連した症状があるか心電図異常がある、またはその両方を有する場合、心臓MRIは診断の正確性を高め、独立して1次エンドポイントを予測できた(HR:12.71、95%CI:1.48~109.35、p=0.021)。

心臓MRIが心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価に最も有用
 一般サルコイドーシス患者に対する検査の中で、心臓MRIが心臓サルコイドーシスの診断と予後の評価に最も有用であった。心エコーはスクリーニングテストとしての診断的価値に限界がある。心エコーにおける異常は陽性的中率が高いが、確定診断には心臓MRIが必要なケースがあると考えられる。

(カリフォルニア大学アーバイン校 循環器内科 河田 宏)

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