血漿中脂質過酸化反応に対する抗精神病薬の影響 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/01/22 ポーランド・ウッチ医科大学のAnna Dietrich-Muszalska氏らは、ユニークな作用機序を有する新規抗精神病薬であるアリピプラゾールに関して、酸化ストレスのマーカーであるTBARS(チオバルビツール酸反応性物質)レベルで測定したヒト血漿中脂質過酸化に及ぼす影響について、クエチアピン、オランザピン、クロザピン、リスペリドン、ziprasidoneなどの他の抗精神病薬と比較し、評価を行った。Psychiatry and clinical neurosciences誌オンライン版2017年12月27日号の報告。 各抗精神病薬の比較に際しては、急性期統合失調症治療に用いられる臨床有効用量に対する最終濃度において評価を行った。TBARSレベルは、分光光度法により測定した。 主な結果は以下のとおり。 ・急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿中の脂質過酸化生成物(TBARS)レベルの明らかな変化を誘発する可能性があることが示唆された。 ・アリピプラゾールは、血漿中の脂質過酸化マーカーのレベルに影響を及ぼさなかったが、より低用量で使用された場合、クロザピン同様にわずかな酸化促進特性を示した。 ・クエチアピンは、リスペリドン、ziprasidone、ハロペリドール、クロザピンの低用量での酸化促進作用とは対照的に、最も強い抗酸化特性を示した。 ・オランザピンは、低用量でのみTBARSレベルを低下させた。 著者らは「急性期統合失調症治療に推奨される用量の抗精神病薬は、血漿脂質過酸化の明らかな変化を誘発する。アリピプラゾールは、血漿脂質過酸化の有意な変化を誘発しなかった。統合失調症患者の臨床症状および抗精神病薬の使用に伴う酸化ストレスの役割を考慮するため、さらなる研究が必要である」としている。 ■関連記事 アリピプラゾール vs.その他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー 非定型抗精神病薬による体重増加・脂質異常のメカニズム解明か カルボニルストレス、統合失調症との関連を解析:都医学研 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Dietrich-Muszalska A, et al. Psychiatry Clin Neurosci. 2017 Dec 27. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)