市中肺炎(CAP)で入院した患者では、複数の併存疾患を有する高齢者において再入院が多く、臨床的および経済的負担が生じる。スペインのProject FIS PI12/02079 Working Groupが横断研究を行ったところ、65歳以上のCAP患者の11.39%が退院後30日以内に再入院し、その関連因子として「15歳未満の同居者あり」「発症前90日に病院受診が3回以上」「慢性呼吸不全」「心不全」「慢性肝疾患」「退院先が在宅医療サービスのある自宅」が挙げられた。BMJ open誌2018年3月30日号に掲載。
本研究は、2回のインフルエンザシーズン(2013~14年および2014~15年)にスペインの7地域20病院の入院患者において実施した。対象は、CAPと診断され救急部から入院した65歳以上の患者で、初回入院時に死亡した患者と30日以上入院した患者は除外した。最終的に1,756例のCAP症例が含まれ、これらのうち200例(11.39%)が再入院した。主要アウトカムは退院後30日以内の再入院とした。
主な結果は以下のとおり。
・退院後30日以内の再入院に関連した因子の調整オッズ比(95%信頼区間)
15歳未満の同居者あり:2.10(1.01~4.41)
発症前90日に病院受診が3回以上:1.53(1.01~2.34)
慢性呼吸不全:1.74(1.24~2.45)
心不全:1.69(1.21~2.35)
慢性肝疾患:2.27(1.20~4.31)
退院先が在宅医療サービスのある自宅:5.61(1.70~18.50)
・年齢、性別、入院前5年間での肺炎球菌ワクチン接種、入院前3シーズンでの季節性インフルエンザワクチン接種との関連はみられなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)