日本の初年度レジデント、長時間労働とうつ病との関連 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/05/02 日本のレジデントは、メンタルヘルスの問題を抱えている人が少なくない。これまでの研究では、長時間労働がうつ病などのストレス反応の原因である可能性が報告されている。また、労働時間が80時間/週以上と80時間/週未満のレジデントを比較した研究も報告されている。しかし、多くのレジデントは、臨床研修、トレーニング、自己学習などのため、実質的には100時間/週以上の超長時間労働に至っている。このような超長時間労働に関する報告は、これまでほとんど行われていなかった。筑波大学の小川 良子氏らは、初年度レジデントの労働環境とストレスの程度を評価し、とくに超長時間労働群における長時間労働とうつ病との関連を調査した。BMC medical education誌2018年3月27日号の報告。 対象は、2011年に研修病院250施設に採用された初年度レジデント1,241例。レジデント開始時および3ヵ月時に、人口統計、うつ症状、研修状況(労働時間、睡眠、自由時間、夜勤シフトなど)に関するデータを収集するため、自己報告アンケートを用いた。うつ症状は、うつ病自己評価尺度(CES-D:Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・平均労働時間は、79.4時間/週であり、労働時間が100時間/週以上であったのは97例(7.8%)であった。 ・3ヵ月時において、臨床的に有意なうつ症状が報告されたのは、100時間/週以上労働していたレジデントの45.5%であった。この割合は、労働時間が60時間/週未満のレジデントよりも有意に高かった(p<0.001)。 ・多変量ロジスティック回帰分析では、うつ症状発症リスクは、労働時間が60時間/週未満のレジデントと比較し、80~99.9時間/週で2.83倍、100時間/週以上で6.96倍高かった。 著者らは「過度な長時間労働は、うつ症状発症と有意な関連が認められた。レジデントの労働時間を適切に管理することは、身体的および精神的な健康を維持し、レジデントによるケアの質を向上させるために重要である」としている。 ■関連記事 長時間労働やシフト作業は認知症発症に影響するか うつになったら、休むべきか働き続けるべきか 職場ストレイン、うつ病発症と本当に関連しているのか (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ogawa R, et al. BMC Med Educ. 2018;18:50. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がん、多遺伝子シグネチャー活用で予後改善/BMJ(2024/11/14) 心房細動を伴う脳梗塞後のDOAC開始、早期vs.晩期/Lancet(2024/11/14) 肺がんにおける悪液質の介入は確定診断前から?/日本肺癌学会(2024/11/14) 末期腎不全の患者、男女ともに過体重・肥満者が増加/新潟大(2024/11/14) 統合失調症に対する電気けいれん療法後の再発率〜メタ解析(2024/11/14) 変形性関節症/関節リウマチ患者の約4割が抑うつ、不安、線維筋痛症のいずれかを合併(2024/11/14) 将来は1時間程度で結果が出る血液検査が可能に?(2024/11/14) 飛行機の換気システムでナッツアレルゲンは広がらない(2024/11/14) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20)