ドイツ・ハノーバー医科大学のAnja Wassmann-Otto氏らによる、二重盲検食物負荷試験(DBPCFC)の後ろ向き研究によって、アトピー性皮膚炎(AD)でカバノキ科(シラカバ)の花粉感作に関連する患者では、シラカバ花粉関連食品の摂取が湿疹増悪の誘因と考えるべきであることが示された。これまでの研究で、同様の所見は示されていたが、議論の余地が残されていた。なお今回の結果について著者は、「遅発性湿疹反応を予測する十分なマーカーがまだ不足しているので、ADを有する患者のシラカバ花粉関連食品に対する診断において、DBPCFCに代わる手法はない」と述べている。Allergy誌オンライン版2018年4月13日号掲載の報告。
研究グループは、シラカバ花粉関連食品がどのくらい湿疹の悪化を誘発するかを調べる目的で後ろ向き研究を行った。また、総IgEならびに特異的IgE抗体価を評価した。
ADを発症し、シラカバ花粉関連食品にアレルギーの疑いがある、小児および成人182例を対象としてDBPCFCを行った。DBPCFCの前に総IgEならびに特異的IgE抗体価を測定した。
主な結果は以下のとおり。
・65例が、DBPCFCでシラカバ花粉関連食品にアレルギー反応を認めた。
・このうち32例は、ADの有意な悪化を認めた。
・さらにこの32例は、AD重症度分類(SCORAD)において、ベースラインから中央値で15.4点(95%信頼区間[CI]:12.4~16.3)上昇し、これは全反応の37%を占めた。
・65例の反応者は非反応者と比較して、シラカバ花粉とリンゴに対する特異的IgE抗体価が有意に高く、アレルギー性鼻炎・結膜炎の有病率が高かった(p<0.05)。
・しかしながら、遅発性湿疹を起こした患者は、特異的IgE抗体による即時型反応を有する患者と区別することができなかった。
(ケアネット)