米国の高齢者、眼鏡の使用に社会的格差

提供元:ケアネット

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公開日:2018/08/21

 

 米国では白内障手術後を除き、眼鏡はメディケアの適用対象外である。この方針を変える意味を理解するには、眼鏡を使用するメディケア加入者数を知っておく必要があるが、最近の推計値はなかった。米国・ミシガン大学のBenjamin Otte氏らは、横断研究を行い、米国では年齢、人種/民族性、教育水準および所得によって、眼鏡の使用に潜在的な社会人口統計学的格差があることを明らかにした。著者は、「今回の結果は、眼鏡を使用する多くのメディケア加入者において、こうした格差をなくす、革新的な公共政策としての解決策が必要であることを示唆している」とまとめている。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2018年7月12日号掲載の報告。

 研究グループは、メディケアに加入し、眼鏡を使用している高齢者の数を推計する目的で、2015年の National Health and Aging Trends Studyのデータを用いて解析した。被験者7,497例から全国代表標本を抽出して評価し、サンプル量を適応させ、データが65歳以上のメディケア加入者4,390万人に相当するようにした。さらに、加入者を次の4グループに割り付け、人数を推計した。(1)遠視があり遠視矯正のために眼鏡を使用、(2)遠視があるが遠視矯正のために眼鏡を使用していない、(3)近視があり近視矯正のために眼鏡を使用、(4)近視があるが近視矯正のために眼鏡を使用していない。
 自己申告に基づく眼鏡使用者数を、本調査結果とメディケアの登録ファイルを用いて推定し、2017年7月12日~11月30日に解析した。主要評価項目は、自己申告による眼鏡もしくはコンタクトレンズの使用であった。

 主な結果は以下のとおり。

・2015年の65歳以上のメディケア加入者は約4,390万人。そのうち、遠視または近視矯正のための眼鏡使用者数は、約4,050万(92.4%、95%信頼区間[CI]:91.6~93.1%)だった。
・眼鏡の使用には社会人口統計学的な差異が観察され、高齢・非白人・低い教育水準・低所得・白内障手術歴ありの人では、眼鏡を使用している可能性がきわめて低かった。
・メディケア加入者のうち、遠視矯正のための眼鏡使用者数は約2,700万(61.7%、95%CI:60.3~63.1%)、近視矯正のための眼鏡使用者数は約3,720万(84.8%、95%CI:83.8~85.8%)であった。

(ケアネット)