進展型小細胞がん(ED-SCLC)は1次治療に良く反応するが、早期に再発し、予後不良である。3次治療以降で認可された治療法はなく、未治療の場合の全生存期間(OS)は1.5ヵ月とされる。また、現段階ではバイオマーカーによる治療は存在しない。
Delta-like Protein3(DLL3)は、正常細胞には発現しないが、小細胞肺がんに高発現するNotchリガンドであり、小細胞がん(SCLC)のマーカーとして期待されている。一方、rovalpituzumab tesirine(Rova-T)は抗DLL3抗体に細胞傷害性物質を結合させた抗体薬物複合体である。第I相試験で有効性を示したことから、オープンラベル単群第II相TRINITY試験が行われ、その結果が本年の米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO2018)で発表された。第16回日本臨床腫瘍学会では、米国・オハイオ州立大学のDavid Carbone氏が、その結果を発表している。
・対象:DLL3を発現した(CNS転移を含む)3次治療以降(プラチナレジメン1回以上)の再発・難治SCLC
・試験薬:対象患者にRova-T 0.3mg/kgを6週ごと2サイクル投与
・評価項目:[主要評価項目]客観的奏効率(ORR)、全生存期間(OS)
[副次的評価項目]奏効期間(DOR)、クリニカルベネフィット率(CBR)、無増悪生存期間(PFS)
主な結果は以下のとおり。
・DLL3発現患者は339例登録され、そのうち高DLL3(75%以上の細胞がDLL3発現)は238例(70%)であった。
・治験担当医評価のORRは18.0%、高DLL3では19.7%であった。
・外部独立評価委員会のORRは12.4%、高DLL3で14.3%であった。
・OS中央値は5.6ヵ月、高DLL3では5.7ヵ月であった。
・治療関連有害事象は全Gradeで91%、Grade3以上で40%。多くみられた項目は光過敏症(35%)、疲労感(28%)、胸水貯留(28%)、末梢浮腫(26%)。治療中止や減量を必要とした割合は10%以下であった。
■参考
TRINITY試験(Clinical Trials.gov)
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ASCO2016レポート 肺がん-2
(ケアネット 細田 雅之)