英国・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのI. Arican氏らは、統合失調症患者のコホートにおける、小児期および成人の注意欠如多動症(ADHD)症状の頻度について調査を行った。Acta Psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2018年8月13日号の報告。
統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された
これまでのエビデンスを評価するため、システマティックレビューを実施した。ICD-10に基づき統合失調症と診断された126例を対象に、成人および小児期のADHD症状を調査するため、2つの自己報告アンケートを用いた。
統合失調症患者のADHD症状の頻度について主な調査結果は以下のとおり。
・5件の研究がシステマティックレビューに含まれた。
・統合失調症患者における小児期ADHDの有病率は17~57%、成人ADHDの有病率は10~47%であった。
・本コホート内において、小児期または成人期どちらかのADHD症状スクリーニングで陽性だった統合失調症患者の割合は、47%であった。
・小児期および成人のADHD症状がどちらも報告された統合失調症患者の割合は、23%であった。
著者らは「一般集団と比較し、統合失調症患者ではADHD症状の有病率が高いことが示唆された。統合失調症患者のサブグループにおいて、臨床評価や治療検討の改善を考慮することが重要である」としている。
(鷹野 敦夫)