経口アリピプラゾール前処置後の統合失調症患者における持効性注射剤の有効性 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2018/12/07 実臨床におけるアリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが評価を行った。BMC Psychiatry誌2018年11月14日号の報告。 本研究は、多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、6ヵ月間のAOM治療をモニタリングされた統合失調症患者242例(年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55.0%)。評価項目は、精神病理学的尺度(簡易精神症状評価尺度:BPRS)、疾病重症度尺度(臨床全般印象度-重症度:CGI-S、臨床全般印象度-改善度:CGI-I)とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・ベースライン時の平均BPRS合計スコアは54.1±15.6であった。平均CGI-Sスコアは4.8±0.8であり、「顕著な精神疾患(markedly ill)」が最も高頻度に認められた(41.7%)。 ・経口アリピプラゾールによる前処置の平均期間は、9.7ヵ月(標準偏差[SD]:22.3)であり、平均5.9ヵ月で87.9%が臨床医より「臨床的に安定している」と判断された。 ・6ヵ月後の全体的なBPRSスコアの差は、-13.8(SD:16.0、95%信頼区間:-15.9~-11.7、p<0.001)であった。 ・高CGI-Sスコア患者が有意に減少し(p<0.001)、低CGI-Sスコア患者が有意に増加した(p<0.001)。 ・35歳以下の若年患者において、BPRSスコアはとくに良好な改善が認められ、CGI-Sスコアは有意な低下が認められた。 ・TRAEはまれであり、錐体外路症状(2.9%)および体重増加(0.4%)の発生率は低かった。 著者らは「AOM治療は、長期にわたる経口アリピプラゾールにより精神症状が改善し、臨床的に安定していると判断された外来統合失調症患者に対し、さらなる有効性が示唆された。AOMの治療効果は、これまでの無作為化比較試験での結果と同様に、実臨床においても実証される」としている。 ■関連記事 うつ病に対するアリピプラゾール増強療法の実臨床における有効性と安全性 ブレクスピプラゾールとアリピプラゾールの体重変化への影響 アリピプラゾール維持治療の52週RCT結果 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Schottle D, et al. BMC Psychiatry. 2018;18:365. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 新PCIデバイスbioadaptor、アウトカム改善の可能性/Lancet(2024/11/13) 市中肺炎の入院患者、経口抗菌薬単独での有効性(2024/11/13) 本邦初、がん患者の「気持ちのつらさ」のガイドライン/日本肺癌学会(2024/11/13) 乾癬への生物学的製剤、真菌感染症のリスクは?(2024/11/13) MCIの認知機能改善に、最適な運動とその量は?~ネットワークメタ解析(2024/11/13) 尿路上皮がん1次治療の更新は30年ぶり、ペムブロリズマブ+EV併用療法とは/MSD(2024/11/13) 米国成人の10人に6人は炎症誘発性の食生活(2024/11/13) 急性白血病の発症時点でさまざまな眼科所見が観察される(2024/11/13) [ あわせて読みたい ] Dr.松崎のここまで!これだけ!うつ病診療 (2016/03/07) 薬剤性QT延長症候群とは(2015/09/30) 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24) 松戸市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/20) シネマセラピー ~シネマにみるメンタルヘルス~(2013/04/26)