スタチン治療によるうつ病発症リスクへの影響は、よくわかっていない。デンマーク・オーフス大学のOle Kohler-Forsberg氏らは、20年間のフォローアップを行ったコホート研究におけるスタチン治療とうつ病との関連を評価した。Journal of Affective Disorders誌2019年3月1日号の報告。
1920~83年に生まれたデンマーク人を対象に、1996~2013年のスタチン治療患者(スタチン群)を特定した。いくつかの潜在的な交絡因子を考慮し、年齢、性別、傾向スコアに基づきスタチン群に非スタチン群をマッチさせた。スタチン治療と抗うつ薬処方、他の薬剤処方、精神科病院でのうつ病診断、心血管死亡率、全死因死亡率との関連を調査するため、Cox回帰を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・スタチン群19万3,977例および非スタチン群19万3,977例を対象に、262万1,282人年フォローアップを行った。
・スタチン使用と関連していた項目は以下のとおり。
●抗うつ薬使用リスクの増加(ハザードレート比[HRR]:1.33、95%信頼区間[CI]:1.31~1.36)
●他の薬剤使用リスクの増加(HRR:1.33、95%CI:1.31~1.35)
●うつ病診断率の増加(HRR:1.22、95%CI:1.12~1.32)
●抗うつ薬使用で調整していない場合におけるうつ病診断率の増加(HRR:1.07、95%CI:0.99~1.15)
●心血管死亡率の減少(HRR:0.92、95%CI:0.87~0.97)
●全死因死亡率の減少(HRR:0.90、95%CI:0.88~0.92)
著者らは「スタチン治療と抗うつ薬使用との関連性は非特異的であり、他の薬剤と同様であった。また、スタチン使用とうつ病診断との関連は、残余交絡、バイアスまたはスタチン治療による医師の診断頻度により影響を受けることが示唆された」としている。
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