切除不能大腸がんにおいて、1~2次治療でのFOLFOXIRI+ベバシズマブ(BV)の併用療法が、FOLFOX+BV→FOLFIRI+BVの治療シークエンスと比較して良好なアウトカムを示したことが明らかになった。ドイツ・ミュンヘンで開催された欧州臨床腫瘍学会(ESMO2018)で、イタリア・ピサ大学のChiara Cremolini氏が発表した第III相TRIBE2試験の中間解析結果より。
TRIBE2試験は、切除不能大腸がんの1~2次治療における3剤併用+BVと2剤併用+BVの有効性を比較する非盲検無作為化第III相試験。被験者は、
Arm A:FOLFOX+BV→維持療法として5-FU+BV(PDまで)→FOLFIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)
Arm B:FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)→FOLFOXIRI+BV→5-FU+BV(PDまで)
に1:1の割合で無作為に割り付けられた(各併用療法はそれぞれ最大8サイクル)。
主要評価項目は、「無作為化から、2次治療のPD(2次治療なし、あるいは1次治療でのPDから3ヵ月以内に2次治療が開始されなかった場合は1次治療のPD)または死亡のいずれかが最初に生じるまでの期間」として定義される無増悪生存期間2(PFS2)。Arm AにおけるPFS2中央値を15ヵ月と推定し、Arm Bとのハザード比(HR)が0.77となるためには、466イベント、654例の患者が必要とされた(両側αエラー:0.05、両側βエラー:0.20)。中間解析は2/3のイベント(303イベント)発生時に計画され、O'Brien Fleming法にしたがって、中間解析では0.0131、最終解析では0.0455の両側αレベルが定義された。
主な結果は以下のとおり。
・2015年2月~2017年5月までの間に、イタリアの58施設で、18~75歳、ECOG PS ≦2の679例(Arm A / B:342例/337例)の切除不能大腸がん患者が組み入れられた。年齢中央値:61歳/60歳、ECOG PS 0:86%/87%、右側原発:38%/38%、アジュバント化学療法歴有:2%/2%、肝限局転移:29%/32%、RAS変異型:65%/63%、BRAF 変異型:10%/10%。
・追跡期間中央値22.8ヵ月で、547例(286/261)の患者が進行し、423イベント(235 /188)についてPFS2が報告された。
・Arm BではArm Aと比較して、1次治療後のPD(PD1)までの期間であるPFS1(9.9ヵ月 vs. 12.0ヵ月、HR:0.73、95%信頼区間[CI]:0.62~0.87、p<0.001)およびRECISTによる奏効率(50% vs.61%、オッズ比[OR]:1.55、95%CI:1.14~2.10、p=0.005)を有意に改善した。
・Arm Aで248例(86%)、Arm Bで194例(74%)がPD1後に2次治療を受けた。Arm BではArm Aと比較して、PFS2を有意に延長した(16.2ヵ月 vs. 18.9ヵ月、HR:0.69、95%CI:0.57~0.83、p<0.001)。
・1次治療におけるGrade3/4の有害事象のうち、Arm Bで多くみられた項目は、下痢(5% vs.17%、p<0.001)、好中球減少症(21% vs.50%、p<0.001)、発熱性好中球減少症(3% vs.7%、p<0.050)であった。
■参考
TRIBE2試験(Clinical Trials.gov)
※医師限定肺がん最新情報ピックアップDoctors’Picksはこちら
(ケアネット 遊佐 なつみ)