局所進行非小細胞肺がん、予防的全脳照射のメリットは?/JAMA Oncol

提供元:ケアネット

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公開日:2019/07/01

 

 非小細胞肺がん(NSCLC)患者への予防的全脳照射(PCI)は有益か無益か。カナダ・プリンセスマーガレットがんセンターのAlexander Sun氏らは、RTOG 0214試験の最新の長期追跡結果より、治療後の病勢進行を認めないStageIIIの局所進行NSCLC(LA-NSCLC)患者において、PCIは5年および10年脳転移率を低下し、5年および10年無病生存期間(DFS)を改善したが、全生存期間(OS)は改善しなかったことを報告した。ただし、結果を踏まえて著者は、「主要評価項目を達成できなかったが、今回の長期結果は将来の研究に役立つ多くの重要な知見をもたらした。PCIが適切な患者集団と安全な介入を特定することが重要である」とまとめている。LA-NSCLCは脳転移率が高く、PCIは脳転移率を低下することは示されているが、OSを改善するかは不明であった。JAMA Oncology誌オンライン版2019年3月14日号掲載の報告。

 RTOG 0214試験は、米国、カナダ等の291施設で実施された国際共同無作為化第III相臨床試験。

 StageIIIのLA-NSCLC患者340例を、Stage(IIIA vs.IIIB)、組織型(非扁平上皮がん vs.扁平上皮がん)および手術の有無(手術なし vs.手術あり)で層別化してPCI群と経過観察群に無作為に割り付けた。

 主要評価項目はOS、副次評価項目はDFSおよび脳転移率であった。

 主な結果は以下のとおり。

・340例の患者背景は平均年齢61歳、男性213例、女性127例、追跡期間中央値は全例で2.1年、生存例で9.2年であった。
・PCI群のOSは、経過観察群と比較して有意な改善は認められなかった(5年生存率:24.7% vs.26.0%、10年生存率:17.6% vs.13.3%、HR:0.82、95%CI:0.63~1.06、p=0.12)。
・DFSは、PCI群が経過観察群より有意に良好であった(5年DFS:19.0% vs.16.1%、10年DFS:12.6% vs.7.5%、HR:0.76、95%CI:0.59~0.97、p=0.03)。
・脳転移率はPCI群が経過観察群より有意に低く、PCIは脳転移リスクを57%減少させた(16.7% vs.28.3%、HR:0.43、95%CI:0.24~0.77、p=0.003)。
・若年者(<60歳)および非扁平上皮がん患者で、脳転移率が高かった。
・多変量解析の結果、PCIは脳転移およびDFSの改善と関連していたが、OSの改善は示されなかった。

(ケアネット)