非小細胞肺がん(NSCLC)は広がりやすい傾向にあり、診断時すでに55%の患者が遠隔転移を有するStageIVだとされる。全身治療が中心であるStageIVのNSCLCにおいて、ドイツ・ゲッティンゲン大学医療センターのJohannes Uhlig氏らは、National Cancer Database(NCDB)に登録された3万4,887例について解析し、全身治療単独よりも、原発腫瘍の外科的切除、もしくは体外照射療法または熱腫瘍アブレーション(EBRT/TA)との併用による、生存ベネフィット改善の可能性が示されたと発表した。JAMA Network Open誌2019年8月2日号掲載の報告。
研究グループは、StageIVのNSCLCの原発腫瘍に対する局所治療の追加が、全身治療単独よりも生存ベネフィットを上乗せするかを評価する検討を行った。NCDBの2018バージョンを後ろ向きに検索し、2010年1月1日~2015年12月31日に、病理組織学的にStageIVと診断されたNSCLCの患者を特定した。
2018年11月1日~2019年1月1日にデータを解析。(1)外科的切除+全身治療(手術併用群)、(2)EBRT/TA+全身治療(EBRT/TA併用群)、(3)全身治療単独について比較検討した。TAには、凍結療法とラジオ波凝固療法が含まれた。
主要評価項目は、全生存期間(OS)。多変量Cox比例ハザード回帰モデル法を用いて療法群間の比較検討を行い、その後に傾向スコアマッチング法にてEBRT/TA併用群と全身治療単独群について比較検討した。
なお治療割付は、人口統計学的因子およびがん特異的因子が関係しており、手術併用群への割付尤度は、オリゴメタスタシスのNSCLCで高かった。
主な結果は以下のとおり。
・適格基準を満たした対象者は、3万4,887例であった。男性1万9,002例(54.4%)、年齢中央値68歳。
・手術併用群835例、EBRT/TA併用群9,539例、全身治療単独群2万4,513例であった。追跡期間中央値は39.4ヵ月。
・手術併用群のOSは他の2つの治療群と比べて有意に優れていた(EBRT/TA併用群に対するハザード比[HR]:0.62、95%CI:0.57~0.67、p<0.001、全身治療単独群に対するHR:0.59、95%CI:0.55~0.64、p<0.001)。
・EBRT/TA併用群のOSは全身治療単独群と比べて有意に優れていた(HR:0.95、95%CI:0.93~0.98、p=0.002)。
・交互作用の解析において、治療効果にはばらつきがあることが確認され、EBRT/TA併用は、T(腫瘍径)とN(リンパ節転移)が限定された腫瘍およびオリゴメタスタシスを有するStageIVの扁平上皮がんで、とくに生存ベネフィットをもたらした(HR:0.68、95%CI:0.57~0.80、p<0.001)。
・同患者における全生存率(EBRT/TA併用vs.全身治療単独)は、1年時点で60.4% vs.45.4%、2年時点で32.6% vs.19.2%、3年時点で20.2% vs.10.6%であった。
(ケアネット)