ダニアレルゲン舌下免疫療法(HDM SLIT)は、コントロール不良のアレルギー性喘息に対し、有効かつ安全であることが、これまでに欧州で確認されている。
今回、田中 明彦氏(昭和大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー内科部門 講師)らは、日本人を対象に、最大19ヵ月にわたるHDM SLITの有効性と安全性を評価した。その結果、成人アレルギー性喘息患者において、HDM SLITは良好な安全性プロファイルを示した。The journal of allergy and clinical immunology:In practice誌2019年9月18日号に掲載。
本研究は、18~64歳のアレルギー性喘息患者を対象に行われた無作為化二重盲検プラセボ対照試験。患者はSQ HDM SLITタブレットの1万JAU群、2万JAU群、またはプラセボ群にランダムに割り付けられた。被験者の喘息コントロール質問票のスコアは1.0~1.5であり、無作為化時には、フルチカゾン プロピオン酸エステル200~400μg(吸入ステロイド:ICS)を毎日吸入していた。
主要評価項目は、無作為化からICSの投与量を減らしていき、最初の喘息増悪までの期間とした。
主な結果は以下のとおり。
・無作為化された826例のうち、693例(84%)が試験を完了した。
・主要評価項目または他の有効性評価項目において、治療群とプラセボ群の間に統計学的有意差は認められなかった。
・事後解析において、ベースライン期間中に短時間作用性β2刺激薬を使用していた被験者では、2万JAU群とプラセボ群の間に有意差が示された(ハザード比:0.70、 95%信頼区間:0.48~1.00、p=0.04997)。
・死亡やアナフィラキシー反応の報告はなく、ほとんどの有害事象は軽度~中等度だった。
これらの結果について、研究グループは「日本人の成人アレルギー性喘息患者に対するSQ HDM SLITタブレットによる治療は、良好な安全性プロファイルを示した。この治療は、発作治療薬を必要とする患者に有効だと思われる」と結論付けている。
(ケアネット 堀間 莉穂)