うつ病患者では、睡眠障害が頻繁に認められる。治療反応と睡眠の質や変化との関連性に対するボルチオキセチンの影響について、中国・西南大学のBing Cao氏らが調査を行った。Journal of Psychopharmacology誌オンライン版2019年9月18日号の報告。
ボルチオキセチンを8週間投与した睡眠の変化を評価
本研究は、うつ病患者におけるTHINC統合ツールによる認知機能変化に対する感受性を評価した臨床試験の事後分析として実施された。対象は、DSM-Vにおける中等度または重度のうつ病と診断された患者92例(18~65歳)および健康対照群54例。すべての患者に対し、オープンラベルでボルチオキセチン(10~20mg/日、フレキシブルドーズ)を8週間投与した。主要アウトカムは、0、2、8週目の睡眠の変化とした。睡眠の評価には、ピッツバーグ睡眠質問票、エプワース眠気尺度、不眠症重症度指数を用いた。副次的評価として、睡眠の変化と抑うつ症状の重症度との関連も調査した。
ボルチオキセチンによる抑うつ症状改善は睡眠の改善と有意な関連
ボルチオキセチンによる治療反応と睡眠の変化の主な結果は以下のとおり。
・うつ病患者は、対照群と比較し、0、2、8週目の各睡眠スコアが有意に不良であった(p<0.05)。
・うつ病患者は、0週目から8週目までの間に各睡眠スコアの有意な改善が認められた(p<0.05)。
・各睡眠スコアの改善と抑うつ症状の改善に、有意な関連が認められた。
著者らは「ボルチオキセチンで治療されたうつ病患者の抑うつ症状改善は、睡眠の改善と有意な関連が認められた。また、睡眠の改善は抗うつ薬治療反応の予測因子であると考えられ、全体的な抑うつ症状の重症度改善と直線的な相関が認められた」としている。
(鷹野 敦夫)