HER2陽性の進行・再発乳がん(mBC)に対する、PD-L1抗体のアテゾリズマブとT-DM1との併用療法の試験結果が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO2019)で、米国・University of Pittsburgh Medical Center Hillman Cancer CenterのLeisha A. Emens氏より発表された。
KATE2試験は、国際共同の二重盲検比較の第II相試験である。2017年12月データカットオフ時点での1回目の無増悪生存期間(PFS)に関する解析は、2018年のサンアントニオ乳がんシンポジウム(SABCS)で両群間には有意差がないという発表がなされている。今回は2018年12月のデータカットオフ時点の最終解析としての全生存期間(OS)や安全性の発表となる。
・対象:HER2陽性mBC(mBCに対する治療中の病勢進行患者、または術後療法終了後6ヵ月以内の再発患者)202例、ぺルツズマブとタキサン系薬剤の投与は許容
・試験群:T-DM1 3.6mg/kg+アテゾリズマブ 1,200mg/回3週ごと(アテゾリズマブ群)
・対照群:T-DM1 3.6mg/kg+プラセボ3週ごと(プラセボ群)
・評価項目:
[主要評価項目]全症例対象(ITT)の主治医判定のPFS
[副次評価項目]OS、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)
[探索的検討項目]PD-L1陽性集団のPFS、免疫関連バイオマーカーの予後に与える影響
[事後解析項目]PD-L1陽性集団のOS
主な結果は以下のとおり。
・PD-L1陽性(免疫細胞1%以上の染色)集団におけるPFS中央値は、アテゾリズマブ群8.5ヵ月、プラセボ群4.1ヵ月、ハザード比(HR)は0.60(95%信頼区間[CI]:032~1.11)であった。
・ITTのOS中央値は、アテゾリズマブ群、プラセボ群ともに未到達でHRは0.74(95%CI:0.42~1.30)であった。
・PD-L1陽性集団におけるOS中央値も、両群とも未到達で、HRは0.55(95%CI:0.22~1.38)。1年生存率は94.3%対87.9%であった。また、PD-L1陰性集団におけるOS中央値も、両群とも未到達であり、HRは0.88(95%CI:0.43~1.80)であった。
・Grade3以上の有害事象は、アテゾリズマブ群で53%、プラセボ群で45%であり、重篤な有害事象は、36%と21%、有害事象による治療中止は29%と15%であった。アテゾリズマブ群におけるGrade3以上の主な有害事象は血小板減少13%、AST上昇9%、貧血8%などであった。これらは、既知の両剤の安全性プロファイルと違いはなかった。
(ケアネット)