緩和ケアは進行肺がん患者の生存ベネフィットと関連していることが、米国・オレゴン健康科学大学のDonald R. Sullivan氏らによる後ろ向きコホート研究の結果、示唆された。緩和ケアは患者中心のアプローチでQOL改善と関連するが、これまで生存ベネフィットとの関連については、さまざまな結果が示されていた。また、そのことが、緩和ケアが十分活用されない要因ともされている。今回の結果を踏まえて著者は、「緩和ケアは、進行肺がん患者において、疾患修飾治療を補完するアプローチとして考慮されるべきである」と述べている。JAMA Oncology誌オンライン版2019年9月19日号掲載の報告。
研究グループは、早期の緩和ケアが進行肺がん患者の生存利益と関連しているかどうかを評価する目的で、後ろ向きコホート研究を行った。対象は、2007年1月1日~2013年12月31日までに肺がんと診断され、退役軍人ヘルスシステムで治療を受けた進行肺がん(StageIIIB/IV)患者2万3,154例で、2017年1月23日まで追跡した。解析は、2019年2月15日~4月28日に行った。
緩和ケアは、肺がん診断後に受けた専門医による緩和ケアと定義し、主要評価項目は生存とした。緩和ケアと死亡した場所との関連も解析した。
主な結果は以下のとおり。
・解析対象2万3,154例のうち、57%が緩和ケアを受けた。
・患者背景は、平均年齢68歳、98%が男性であった。
・がんの診断と緩和ケアの受診のタイミングを調査した結果、緩和ケアを受けなかった患者と比較して、診断後0~30日での緩和ケア受診は生存率の低下と関連し(補正後ハザード比[aHR]:2.13、95%信頼区間[CI]:1.97~2.30)、診断後31~365日の緩和ケア受診は生存率の増加と関連し(0.47、0.45~0.49)、診断後365日以降では生存率に差は認められなかった(1.00、0.94~1.07)。
・緩和ケアの受診は、救急受診での死亡リスク低下とも関連していた(補正後オッズ比:0.57、95%CI:0.52~0.64)。
(ケアネット)