早期肺がんで再発リスクが高い病理学的所見が明らかにされた。広島大学の津谷 康大氏らが、「胸部薄切CT所見に基づく肺野型早期肺癌の診断とその妥当性に関する研究」(JCOG0201)の10年追跡結果を報告。浸潤成分径>2cm、臓側胸膜浸潤陽性または血管侵襲陽性の再発リスクが高いことが示されたという。Annals of Thoracic Surgery誌2019年11月号掲載の報告。
JCOG0201は前向き多施設共同研究で、再発リスクが高い病理学的Stage I肺腺がん患者を特定する目的で行われた。被験者は、肺葉切除を受け登録された病理学的Stage I肺腺がん患者536例。lepidic成分を除く浸潤成分の大きさを腫瘍径としデータを解析した。
Kaplan-Meier法で無再発生存(RFS)率を推定し、多変量Cox比例ハザードモデルを用いてRFS不良に関連する独立した予後因子を特定した。
主な結果は以下のとおり。
・追跡期間中央値は10.2年で、10年RFSは83.9%であった。
・多変量Cox解析の結果、年齢65歳超(ハザード比[HR]:2.60、95%信頼区間[CI]:1.66~4.07)、浸潤成分径2cm超(HR:2.70、95%CI:1.40~5.23)、臓側胸膜浸潤(HR:2.17、95%CI:1.23~3.81)、および血管侵襲(HR:2.59、95%CI:1.47~4.55)がRFSの独立した予後因子であった。
・再発の高リスク群(浸潤成分径>2cm、あるいは、臓側胸膜浸潤陽性または血管侵襲陽性:124例)と低リスク群(浸潤成分径≦2cm、かつ、臓側胸膜浸潤陰性または血管侵襲陰性:408例)に分けた場合、両群間でRFSに有意差が認められた(高リスク群のHR:3.61、95%CI:2.35~5.55)。
(ケアネット)