慶應義塾大学のHideaki Tani氏らは、統合失調症における抗精神病薬減量の成功を予測する因子を検討するため、システマティックレビューおよびメタ解析を行った。Neuropsychopharmacology誌オンライン版2019年11月26日号の報告。
統合失調症における抗精神病薬減量について調査したプロスペクティブ臨床試験およびランダム化比較試験(RCT)を対象に、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。
主な結果は以下のとおり。
・対象研究は、37件であった。
・第2世代抗精神病薬(SGA)に焦点を当てた研究は8件、長時間作用型持効性注射剤SGAについて調査した研究はなかった。
・再発または症状変化を評価した研究24件中20件(83.3%)は、減量成功基準を満たしていた。
・減量成功に関連する因子は、以下のとおりであった。
●研究期間1年未満
●40歳超
●罹病期間10年超
●減量後のクロルプロマジン(CP)換算量200mg/日超
・臨床症状の悪化が認められた場合、用量をベースラインレベルまで増量することで、多くは再び安定化した(8例中7例[87.5%])。
・18件のRCTをメタ解析したところ、再発率は、維持群よりも減量群で有意に高かったが(リスク比[RR]:1.96、95%信頼区間[CI]:1.23~3.12)、減量群では認知機能の有意な改善が認められた(標準化平均差[SMD]:0.69、95%CI:0.25~1.12)。
・サブグループ解析では、減量後のCP換算量が200mg/日以下の場合のみ、再発リスクの増加が認められた(RR:2.79、95%CI:1.29~6.03)。
著者らは「抗精神病薬の減量を行う際に、罹病期間の短い若年患者では長期的な再発リスクを考慮し、最終的な抗精神病薬の用量をCP換算量で200mg/日超に保つ必要がある。統合失調症における抗精神病薬の減量を成功させるための最適な戦略を考えるうえで、さらなる研究が必要であり、とくにSGAを含む研究が必要とされる」としている。
(鷹野 敦夫)