2型糖尿病(T2DM)は、うつ病のリスク因子だといわれている。脳内のインスリン抵抗性は、うつ病の潜在的な役目を果たすため、T2DM患者の将来のうつ病リスクは、T2DM治療に使用される経口血糖降下薬(OHA)の種類によって変わる可能性がある。日本大学の秋元 勇人氏らは、特定の種類のOHAがT2DMに併存するうつ病リスクと関連しているかについて、検討を行った。Pharmacology Research & Perspectives誌2019年11月21日号の報告。
主な結果は以下のとおり。
・日本人T2DM患者4万214例、うつ病群1,979例と非うつ病群3万8,235例に分類した。
・うつ病発症のオッズ比(OR)は、以下においてDPP-4阻害薬のほうが有意に低かった。
●年齢(10年間の調整OR[AOR]:1.03、95%信頼区間[CI]:0.99~1.07、p=0.1211)
●性別(女性のAOR:1.39、95%CI:1.26~1.53、p<0.0001)
●HbA1c(1.0%のAOR:1.18、95%CI:1.11~1.26、p<0.0001)
●T2DMの罹病期間(1年間のAOR:1.00、95%CI:0.99~1.01、p=0.4089)
●7つの症状歴(AOR:0.31、95%CI:0.24~0.42、p<0.0001)
・他の種類のOHAでは、有意な関連は認められなかった。
著者らは「T2DM治療に対しDPP-4阻害薬を使用することは、うつ病リスクの低さと関連している」としている。
(鷹野 敦夫)