前糖尿病状態から糖尿病にならないために

提供元:ケアネット

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公開日:2020/01/21

 

 前糖尿病者において、肥満かどうかにかかわらず体重を増やさないことで糖尿病発症リスクを最小限にできることが、国立国際医療研究センターのHuan Hu氏らの研究で示唆された。体重を減らすことは肥満者が前糖尿病状態から正常血糖に戻るのに役立つ一方、体重を維持することは非肥満者が正常血糖に戻るのに役立つ可能性があるという。Clinical Nutrition誌オンライン版2019年12月25日号に掲載。

 本研究では、最大8年間、毎年健康診断を受けた2万2,945人の前糖尿病者のデータを使用し、糖尿病に進行した人、前糖尿病のままの人、正常血糖に戻った人におけるBMIと腹囲の変化を調査した。糖尿病の発症は、米国糖尿病学会(ADA)の基準により定義した。観察期間中に糖尿病に進行しなかった人は、最後の健康診断データに基づいて、「前糖尿病のまま」または「正常血糖に戻った」と分類された。BMIと腹囲の変化は、広範囲の共変量を調整して、反復測定の線形混合モデルを使用して評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・研究期間中、2,972人が糖尿病に進行し、4,706人が正常血糖に戻り、1万5,267人が前糖尿病のままであった。
・糖尿病に進行した人の平均BMIは、糖尿病診断の7年前から1年前に大きく増加し(年間変化率:0.20 [95%信頼区間:0.15~0.24] kg/m2/年)、前糖尿病のままであった人(0.06 [0.04〜0.08] kg/m2/年)の約3倍(p<0.001)で、最初の健康診断時のBMIとは関係なかった。
・正常血糖に戻った人における平均BMIの変化率は-0.04(-0.09〜0.002)kg/m2/年で、肥満者(-0.16 [-0.28〜-0.05] kg/m2/年)を除いてほぼ変化がなかった。
・糖尿病を発症した人の腹囲の年間変化率は0.38(0.32〜0.45)cm/年で、前糖尿病者(0.05 [0.03〜0.08] cm/年)の約7倍だった(p<0.001)。
・正常血糖に戻った人のうち、中枢性肥満ではない人は平均腹囲が変わらず(-0.02 [-0.06〜0.03]cm/年)、中心性肥満の人は減少がみられた(-0.40 [-0.47〜-0.32] cm/年)。

(ケアネット 金沢 浩子)