レビー小体型認知症(DLB)患者は、アルツハイマー病(AD)患者と比較し、認知機能低下がより速いといわれている。しかし、この認知機能低下の変動の違いについては、あまり注目されていなかった。ノルウェー・Haraldsplass Deaconess HospitalのLasse Melvaer Giil氏らは、DLB患者とAD患者の認知機能低下の違いについて検討を行った。Journal of Alzheimer's Disease誌オンライン版2020年1月2日号の報告。
このDemVest研究では、軽度認知症患者222例(AD患者137例、DLB患者85例)を対象に、ベースラインから5年間のミニメンタルステート検査(MMSE)を実施し、評価を行った。学習年数、年齢、性別、診断を独立変数として、ベースラインでのMMSEの変動およびMMSE低下の変動性を評価するため、線形混合モデルを用いた。分散の違いを調査するため、群間で等しい分散を仮定する通常の線形混合モデル(ホモ分散モデル)と、診断に基づき不均一な分散を仮定する異分散モデルとの比較を行った。さらに、ベースラインでのMMSEの変動およびMMSE低下の変動性を評価するため、改変されたWald分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・年齢や診断と互いに影響し合う、非線形(2次)軌道が認められた。
・異分散モデルのほうが適合度が高く(尤度比検定:χ2=30.3、p<0.001)、DLBの全体的な変動性が示唆された。
・Wald分析では、ベースラインでのMMSEの変動(AD:2.78、DLB:7.75、差:4.97、p=0.021)およびMMSE低下の変動性(AD:2.62、DLB:7.81、差:5.19、p=0.004)は、いずれもDLBのほうが高かった。
著者らは「DemVest研究におけるDLB患者は、ベースライン時のMMSEスコアが低く、MMSEスコア低下の変動性がAD患者より高かった。そのため、DLBを対象とした臨床試験では、ADの場合と比較し、より大きなサンプルサイズが必要となる可能性がある」としている。
(鷹野 敦夫)