化学療法の毒性リスクが最も低い患者は?/Cancer

提供元:ケアネット

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公開日:2020/02/24

 

 化学療法を受けるがん患者の毒性リスクに関して、栄養状態がキーを握ることが報告された。米国・フォックス・チェイスがんセンターのEfrat Dotan氏らが、固形腫瘍を有する高齢者において、治療前のBMI値、アルブミン値ならびに過去6ヵ月の意図しない体重減少(UWL)と、化学療法の毒性との関連を評価した結果、BMIが高くアルブミン値正常でGrade3以上の毒性リスクが低くなることが示されたという。著者は、「高齢のがん患者において、栄養状態が罹病率と死亡率に直接影響を及ぼすことが示された」とまとめ、「栄養マーカーの臨床的重要性を明らかにし、今後、介入していくためにも、さらなる研究が必要である」と提言している。Cancer誌オンライン版2020年1月24日号掲載の報告。

 研究グループは、前向き多施設研究で化学療法を受けた65歳以上の高齢者について2次解析による検討を行った。

 治療前に、高齢者機能評価、BMI値、アルブミン値、およびUWLのデータを収集し、多変量ロジスティック回帰モデルにより、栄養因子とGrade3以上の化学療法毒性リスクとの関連を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・解析対象は750例で、年齢中央値は72歳、ほとんどがStageIVのがんであった。
・治療前のBMI中央値は26、アルブミン中央値は3.9mg/dLであった。
・約50%の患者がUWLを報告し、10%超のUWLがみられた患者は17.6%であった。
・多変量解析の結果、10%超のUWLとGrade3以上の化学療法毒性リスクとの間に関連性は認められなかった(補正後オッズ比[AOR]:0.87、p=0.58)。
・一方、BMI 30以上では、Grade3以上の化学療法毒性リスクが減少する傾向がみられ(AOR:0.65、p=0.06)、アルブミン低値(≦3.6mg/dL)では、Grade3以上の化学療法毒性リスクの増加と関連した(AOR:1.50、p=0.03)。
・BMIとアルブミンを組み合わせて解析した結果、BMI 30以上かつアルブミン値正常の患者において、Grade3以上の化学療法毒性が最も低いことが示された(AOR:0.41、p=0.008)。

(ケアネット)