化学放射線療法後のPD-L1阻害薬による地固め療法は、Stage III非小細胞肺がん(NSCLC)の全生存率と無増悪生存率(PFS)を改善する。一方、化学放射線療法開始時のPD-L1阻害薬導入についての評価は明らかではない。そこで、NSCLCの根治的化学放射線療法とPD-1阻害薬ペムブロリズマブの同時併用の安全性と忍容性を決定する目的で前向き多施設非無作為化比較第I相試験が行われた。
・対象:局所進行切除不能StageIII NSCLC(ECOG PS0~1)21例
・介入:
ペンブロリズマブを化学放射線併用療法(カルボプラチン+パクリタキセル毎週投与+放射線60Gy[2Gy/回])と併用。
[コホート1]化学放射線療法後2〜6週からペンブロリズマブ 200mg 3週間ごと。
[コホート2]化学放射線療法の29日目からペムブロリズマブ 100mg 3週間ごと。
[コホート3]化学放射線療法の29日目からペンブロリズマブ 200mg 3週間ごと。
[コホート4]化学放射線療法の1日目からペムブロリズマブ 100mg 3週間ごと。
[コホート5]化学放射線療法の1日目からペンブロリズマブ 200mg 3週間ごと。
・評価項目:
[主要評価項目]化学放射線療法との併用によるPD-1阻害薬の安全性と忍容性
[副次評価項目]PFS、肺炎発症割合など。
主な結果 は以下のとおり。
・対象患者21例の年齢中央値は69.5歳であった。
・コホート5の安全性拡大コホートでGrade5の肺炎が1例発現した。
・Grade3以上の免疫関連有害事象が4例の患者で発生した(18%)。
・ペンブロリズマブを1回以上投与した患者(21例)のPFS中央値は18.7ヵ月。6ヵ月PFS率は81.0%、12ヵ月PFS率は69.7%であった。
・ペンブロリズマブを2回以上投与した患者(19例)のPFS中央値は21.0ヵ月であった。
これらの結果から筆者らは、StageIII NSCLCに対するPD-1阻害薬と化学放射線療法の併用療法は忍容性があり、PFSも有望であることから、さらなる研究が必要であると述べている。
(ケアネット 細田 雅之)