韓国・カトリック大学校のChi-Un Pae氏らは、統合失調症における月1回アリピプラゾール(AOM)のリアルワールドデータを収集し、評価を行った。Clinical Psychopharmacology and Neuroscience誌2020年2月29日号の報告。
統合失調症治療のために抗精神病薬の多剤併用(APpoly)またはアリピプラゾール以外の他の長時間作用型注射剤(LAI)で治療された患者において、AOMの初回使用後最大12ヵ月間の観察研究を行った。人口統計、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)、臨床全般印象度(CGI-S)、有害事象などの利用可能な臨床情報を電子医療記録(EMR)より収集した。
主な結果は以下のとおり。
・APpolyまたはLAIからAOMへ切り替えた患者は18例であった。
・AOM使用前の平均AP数は、以前の治療不良時で2.2、使用直前で2.4であった。最も使用されていたAPは、アリピプラゾール、ブロナンセリン、クエチアピン、リスペリドンであった。
・AOM使用により平均AP数は、12ヵ月間で0.7まで有意な減少が認められた(p<0.0001)。
・12ヵ月間で、PANSS合計スコア(71.7→62.1、p=0.000)、CGI-Sスコア(3.4→3.1、p=0.008)の有意な減少が認められた。
・観察期間中のベースラインからの変化では抗不安薬を含む向精神薬の有意かつ実質的な減少が認められた。
・軽度な手の振戦およびアカシジアが3例で認められた。
著者らは「APpolyまたはLAI治療の統合失調症患者に対するAOMの使用は、効果的かつ忍容性が良好な治療オプションであることが確認された。今後、適切に設計された臨床試験が望まれる」としている。
(鷹野 敦夫)