長時間作用型アリピプラゾールに関するコホート研究

提供元:ケアネット

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公開日:2020/03/20

 

 アリピプラゾール月1回投与(アリピプラゾール持効性注射剤:AOM)を使用した統合失調症治療の機能およびウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)に対する有効性について、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのDaniel Schottle氏らが実臨床での評価を行った。BMC Psychiatry誌2020年2月22日号の報告。

 本研究は、6ヵ月間の多施設プロスペクティブ非介入研究として実施された。対象は、経口薬による治療から9.7(±22.3)ヵ月後にAOMへ切り替えを行い症状が安定した統合失調症患者242例(平均年齢:43.1±15.1歳、男性の割合:55%)。評価項目は、機能の全体的評価尺度(GAF)、患者のウェルビーイング(WHO-5精神健康状態表)、AOMの有効性と忍容性に関する患者および臨床医の評価とした。また、治療関連有害事象(TRAE)を評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時の平均GAFスコアは47.0±13.9であった。患者は、機能に重大な障害を経験していることが示唆された。
・治療中に60.2±17.0へと継続した改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。
・ベースライン時において、患者のウェルビーイングは低く、WHO-5の平均スコアは10.6±5.6であった。
・治療中に患者のウェルビーイングの継続的な改善が認められ、4週間後には強力かつ有意な改善が認められた。エンドポイントのスコアは15.4±5.5であり、6ヵ月間で4.8±6.9の改善が認められた。
・これらの結果を層別化すると、35歳以下の患者でより顕著な効果が認められた(GAF:p<0.05)。
・AOMの有効性および忍容性の評価では、患者(89.2%、93.7%)、臨床医(91.4%、96.8%)ともに良好/非常に良好と評価された。
・TRAEの発生は、まれであった。

 著者らは「統合失調症患者、主に安定している患者に対するAOM治療の開始は、機能やウェルビーイングへの有意な効果を示し、この効果は35歳以下の患者でより顕著であった。実臨床における本結果は、これまでのランダム化試験の結果を支持するものである」としている。

(鷹野 敦夫)