うつ病や双極性障害における嗅覚記憶の比較

提供元:ケアネット

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公開日:2020/04/22

 

 嗅覚認識記憶の変化は、うつ病の感覚マーカーである可能性がある。そして、単極性うつ病と双極性うつ病で有意な差が存在する可能性もある。フランス・トゥール大学のFrancois Kazour氏らは、単極性および双極性うつ病の潜在的なマーカーを特定するため、検討を行った。Brain Sciences誌2020年3月24日号の報告。

 双極性うつ病(DB)群、双極性寛解(EB)群、単極性うつ病(DU)群、単極性寛解(EU)群、正常対照(HC)群を募集した(176例)。対象者には、標準化された臨床評価および嗅覚評価を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・DU群、DB群、EU群は、HC群と比較し、嗅覚記憶に欠陥が認められた。
・DB群は、新規の匂いを認識する能力が低かった。
・DB群、DU群は、HC群と比較し、珍しい匂いの検出が限定的であった。
・DB群は、それ以外の群と比較し、匂いを快適ではないと評価した。
・すべての患者群は、HC群と比較し、快楽評価が低かった。
・DB群は、EU群と比較し、感情的評価が低かった。

 著者らは「抑うつ状態では、嗅覚記憶が障害を受けており、うつ病のマーカーであると考えられる。双極性うつ病患者における嗅覚記憶の障害は、寛解後も持続するため、双極性障害の特性マーカーであることが示唆された。単極性うつ病と双極性うつ病は、快楽評価で区分できる」としている。

(鷹野 敦夫)