睡眠は健康やウェルビーイング(身体的、精神的、社会的に良好な状態)にとって不可欠であり、睡眠不足は深刻な生理学的問題を引き起こす可能性がある。ブラジル・サンパウロ連邦大学のLeandro Lucena氏らは、睡眠パターンを評価し、QOLに対する不眠症の影響について調査を行った。Sleep Health誌オンライン版2020年4月22日号の報告。
EPISONO研究(Sao Paulo epidemiologic sleep study)は、睡眠と睡眠障害のリスク因子に関する人口ベースの疫学調査として実施された。性別、年齢、社会経済的地位に応じたサンパウロの人口を代表する18歳以上の男性574例、女性468例を対象とし、横断的研究を行った。客観的な睡眠の評価に睡眠ポリグラフのデータを用い、QOLを評価するためにアンケートを実施した。DSM-IVに基づき検証したアンケートを用いて自覚された不眠症を評価し、対象者を「不眠症状なし」「不眠症状あり」「不眠症候群」に分類した。身体測定データ、客観的な睡眠パラメータ、QOLを評価し、対象者を性別ごとに年齢に応じて分類した。
主な結果は以下のとおり。
・不眠症状のある人は、ない人と比較し、性別とは関係なくQOLの低下が示唆された。
・男女別の不眠症状の有無は、以下のとおりであり、女性は男性よりも不眠症状を有する割合が高かった。
●不眠症状なし(男性:42.1%、女性:33.3%)
●不眠症状あり(男性:47.2%、女性:48.6%)
●不眠症候群(男性:10.7%、女性:18.1%)
著者らは「女性(とくに若い女性)は、男性と比較し、不眠症の訴えが多く、QOLが低下していた。不眠症状ありまたは不眠症候群が認められた人は、男女ともにQOLスコアが低かった」としている。
(鷹野 敦夫)