小細胞肺がんに対するデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法の成績(CASPIAN)/ASCO2020

提供元:ケアネット

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公開日:2020/06/24

 

 スペイン・Hospital Universitario 12 de OctubreのLuis G. Paz-Ares氏は、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療で免疫チェックポイント阻害薬の抗PD-L1抗体デュルバルマブ、抗CTLA-4抗体tremelimumabと化学療法の併用と、デュルバルマブ+化学療法、化学療法の3群を比較した第III相試験「CASPIAN」の結果を米国臨床腫瘍学会年次総会(ASCO20 Virtual Scientific Program)で報告した。同学会では、2つ目の実験群であるデュルバルマブ+tremelimumab+化学療法群の初回解析では全生存期間(OS)の有意な改善は認められなかったが、デュルバルマブ+化学療法では、11ヵ月追加した中央値25.1ヵ月の追跡結果においても、有意なOSの延長を示した。

・対象:未治療のES-SCLC患者(WHO PS 0/1)、無症候性あるいは治療済みで安定している脳転移症例は許容
・試験群:
 デュルバルマブ+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+EP群)
 デュルバルマブ+tremelimumab+エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(D+T+EP群)
・対照群:エトポシド+シスプラチン/カルボプラチン(EP群)
・評価項目:
[主要評価項目]OS
[副次評価項目]無増悪生存期間(PFS)、奏効率(ORR)、患者報告アウトカム(PRO)、安全性、忍容性
 PFSの検定は、上記2つの試験群のOSの有意差が確認された場合に解析される。

 主な結果は以下のとおり。

D+T+EP vs.EP
・OS中央値はD+T+EP群10.4ヵ月、EP群10.5ヵ月、2年OS率はEP群14.4%、D+T+EP群23.4%であったが、事前のp値設定≦0.0418を達成せず、統計学的有意差は認められなかった。
・PFS中央値はD+T+EP群4.9ヵ月、EP群が5.4ヵ月であった。
・奏効期間(DoR)はD+T+EP群5.2ヵ月、EP群が5.1ヵ月であった。
・ORRはD+T+EP群が58.4%、EP群が58.0%であった。

D+EP vs.EP
・OS中央値はD+EP群が12.9ヵ月(95%CI:11.3~14.7)、EP群が10.5ヵ月(95%CI:9.3~11.2)でD+EP群で有意な延長が認められた(HR:0.75、95%CI:0.62~0.91、p=0.0032)。2年後OS率は、EP群14.4%に対してD+EP群22.2%であった。
・PFS中央値はD+EP群が5.1ヵ月(95%CI:4.7~6.2)、EP群が5.4ヵ月(95%CI:4.8~6.2)であった(HR:0.80、95%CI:0.66~0.96)。
・DoRはD+EP群共に5.1ヵ月であった。
・ORRはD+EP群が67.9%、EP群が58.0%であった。

・有害事象(AE)発現率はD+T+EP群が99.2%、D+EP群が98.1%、EP群が97%で、Grade3~4のAE発現率はD+T+EP群が70.3%、D+EP群が62.3%、EP群が62.8%であった。
・免疫関連AEは、D+T+EP群が36.1%、D+EP群が20.0%、EP群が2.6%であった。

 今回の結果についてPaz-Ares氏は「D+EP群が進展型小細胞肺がんの1次治療で新たな標準治療となることをよ支持している」との見解を示した。

(ケアネット)