新型コロナウイルス感染症への感染を調べる抗原検査について、厚生労働省は6月16日付でガイドラインを改定した。この改定による大きな変更点は、発症2~9日目の患者に限り、抗原検査で陰性となった場合でも、追加のPCR検査が不要となったことだ。
抗原検査は、検査キットを使い、わずか30分程度で感染の有無を判断できる迅速性がメリットだが、偽陰性が生じるリスクがある。このため従来のガイドラインでは、陽性の場合は診断が確定できるものの、陰性の場合には確定診断のために改めてPCR検査を実施することになっていた。この煩雑なフローにより、当初はPCR検査の不足分を補う検査として期待されていたものの、実際には抗原検査が診療現場に広がったとは言い難い状況だった。
しかし今般、川崎市健康安全研究所や東邦大学医療センター大森病院、国立国際医療研究センター、それに自衛隊中央病院において、院内陽性者の発症後日数と PCR検査および抗原検査の結果を調査したところ、いずれも発症2~9日以内の症例では保有するウイルス量が多く、PCR検査と抗原検査の結果の一致率が高いとの研究結果が示された。このため改定ガイドラインでは、「新型コロナウイルス感染症を疑う症状発症後2日目から9日目以内の者(発症日を1日目とする)については、本キットで陰性となった場合は追加の検査を必須とはしない」と変更された。
(ケアネット 鄭 優子)