混合性(亜症候性躁病)の双極性うつ病の小児および青年の治療に対するルラシドンの有効性と安全性について、米国・スタンフォード大学のManpreet K. Singh氏らが、事後分析により評価を行った。Journal of Child and Adolescent Psychopharmacology誌オンライン版2020年5月8日号の報告。
DSM-Vで双極I型うつ病と診断された10~17歳の患者を対象に、6週間のランダム化二重盲検試験を実施した。対象患者は、ルラシドン20~80mg(フレキシブルドーズ)またはプラセボを1日1回投与する群にランダムに割り付けられた。混合性(亜症候性躁病)は、ベースライン時のヤング躁病評価尺度(YMRS)5以上と定義した。評価項目は、ベースラインから6週目までのChildren's Depression Rating Scale-Revised(CDRS-R)スコア(主要評価項目)および臨床全般印象度-双極性障害 重症度(CGI-BP-S)スコアとし、反復測定分析による混合モデルを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・ベースライン時に亜症候性躁病が認められた患者の割合は、54.2%であった。
・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCDRS-Rスコアを有意に減少させた。
●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-21.5)vs.プラセボ(-15.9)、p<0.01、エフェクトサイズd=0.43
●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-20.5)vs.プラセボ(-14.9)、p<0.01、d=0.44
・ルラシドン治療は、亜症候性躁病の有無にかかわらず、6週間後のCGI-BP-Sスコアを有意に減少させた。
●亜症候性躁病あり:ルラシドン(-1.6)vs.プラセボ(-1.1)、p<0.001、d=0.51
●亜症候性躁病なし:ルラシドン(-1.3)vs.プラセボ(-1.0)、p=0.05、d=0.31
・治療中に認められた軽躁病および躁病の発生率は、ルラシドンとプラセボで同等であった。
●亜症候性躁病あり:ルラシドン(8.2%)vs.プラセボ(9.0%)
●亜症候性躁病なし:ルラシドン(1.3%)vs.プラセボ(3.7%)
著者らは「ルラシドンは、混合性の双極性うつ病の小児・青年の治療に有効であり、治療に伴う躁病リスクを含む安全性プロファイルは、プラセボとの差が認められなかった」としている。
(鷹野 敦夫)