厚生労働省は7月14日、6月に3都府県で実施した新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の抗体検査で陽性となった8例について抗体量を測定したところ、全例で実際にウイルス感染阻害機能を持つ抗体量(中和抗体価)が確認されたと発表した。新型コロナウイルスに対する免疫獲得が確認されたのは、国内では初めてとなる。
厚労省は、6月1~7日に東京都・大阪府・宮城県の一般住民それぞれ約3,000名を無作為化抽出して抗体保有調査を実施。対象者は本調査への参加に同意した一般住民(東京都1,971名、大阪府2,970名、宮城県3,009名、計7,950名)で、より正確に判定するため、2種の検査試薬(アボット社、ロシュ社)の両方で陽性が確認されたものを「陽性」とした。
今回の測定調査では、抗体検査で「陽性」だった8例の検体すべてから中和抗体が確認された。一方、1種類の検査試薬のみで陽性だったケースや、いずれかが閾値付近だったケースでも測定が実施されたが、いずれも抗体量が検出感度以下だった。
新型コロナウイルス感染後の抗体については、持続期間や、再感染を防ぐ機能の有無などは依然不明である。中国やスペインからは、いずれも発症後2~3ヵ月が経過した時点で抗体量が急激に減少したという研究データが示されている。一方、英国・キングスカレッジロンドンが7月9日に発表したCOVID-19患者65例を対象に抗体量の経過を観察した研究で、プレプリントの報告ではあるが、抗体量は発症後平均23.1日(範囲:1~66日)でピークに達し、このうち60%の人は強力な中和抗体を有していたという。しかし、発症から3ヵ月以降では、中和抗体を持つ患者は16.7%まで減少。多くの患者で抗体量は約23分の1まで低下し、なかにはまったく検出されなかった人もいたという。
(ケアネット 鄭 優子)