治療抵抗性統合失調症は、2次医療機関における疾患マネジメントが困難な場合が多い疾患の1つである。再入院や長期介護費用などのリスクを軽減するため、複雑な治療抵抗性精神疾患に対しエビデンスに基づき個別で、集学的な医療を提供する専門の3次医療機関として英国精神疾患ユニット(National Psychosis Unit:NPU)がある。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのCecilia Casetta氏らは、NPUでの治療の長期的な有効性を自然主義的なアウトカムを検討することにより評価した。BJPsych Open誌2020年8月3日号の報告。
精神科病床と一般病床の入院回数、入院日数、緊急度、NPU入院前後に処方された向精神薬の数と抗精神病薬の用量について、ミラーイメージデザインを用いて比較した。CRISシステム、South London and Maudsley NHS Trustデータベース、HESシステムを用いてデータを収集した。
主な結果は以下のとおり。
・NPU入院2年前と比較し、入院後には以下の改善が認められた。
●精神疾患に伴う入院の減少(1.65±1.44 vs. 0.87±0.99、z=5.594、p<0.0001)
●精神科病床使用の減少(335.31±272.67 vs. 199.42±261.96、z=5.195、p<0.0001)
●一般病床の総入院日数の減少(16.51±85.77 vs. 2.83±17.38、z=2.046、p=0.0408)
●総入院日数の減少(351.82±269.09 vs. 202.25±261.05、z=5.621、p<0.0001)
・NPUでの治療後に、必要とされるサポートレベルは低下した(z=-8.099、p<0.0001)。
著者らは「治療抵抗性精神疾患に特化した3次医療サービスの長期的な有効性が示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)