メンタルヘルスの改善に効果があるとされることの多いヨガだが、医学療法と比較した場合の効果はどうなのか。ヨガ、認知行動療法(CBT)と従来の治療法であるストレス教育の効果を比較した、米国・ニューヨーク大学のNaomi M. Simon氏らによる研究がJAMA Psychiatry誌オンライン版2020年8月12日号に掲載されている。
著者らは、2013年12月1日から2つの専門学術機関で参加者を募集、全般性不安障害(GAD)と診断された成人226例を対象とした。評価は2019年10月25日まで、分析は 2020年2月12日までに完了した。ヨガ(クンダリーニヨガ)とCBTそれぞれのストレス教育に対する優越性、およびヨガのCBTに対する非劣性を検証した。
参加者は、ヨガ(n=93)、CBT(n=90)、ストレス教育(n=43)に無作為に割り付けられ、4~6人のグループに分けられたうえで、2人のインストラクターによる20分間/日のホームワークを伴う120分のプログラムを受けた。主要評価項目はITT解析による12週間後のGAD反応率(臨床全般印象-改善度スコアが「よく改善」もしくは「非常によく改善」の割合)だった。
主な結果は以下のとおり。
・226例の平均(SD)年齢は33.4(13.5)歳、女性が158例(69.9%)で、そのうち155例(68.6%)が評価を完了した。
・完了者の内訳はヨガ60例(64.5%)、CBT67例(74.4%)、ストレス教育28例(65.1%)で、完了率に差はなかった(χ2=2.39、df=2、p=0.30)。
・GAD反応率は、ヨガ群(54.2%)がストレス教育群(33.%)よりも高く(オッズ比[OR]:2.46、95%CI:1.12~5.42、p=0.03、要治療者数ではOR:4.59、95%CI:2.52~46.19)、CBT群(70.8%)がストレス教育群(33.0%)よりも高かった(OR:5.00、95%CI:2.12~11.82、p<0.001、要治療者数ではOR:2.62、95%CI:1.91~5.68)。
・非劣性検証では、ヨガがCBTの効果と同等ということを示さなかった(差:16.6%、非劣性のp=0 .42)。
著者らは、 ヨガはGADに効果があるとしつつも、CBTが第1選択であることは変わらないとしている。
(ケアネット 杉崎 真名)