Webベースの心理的介入は、ここ15年間で大幅に増加している。健康状態に慢性的な問題を有する患者における抑うつ、不安、苦痛症状に対するWebベースの心理的介入の有効性について、オーストラリア・ディーキン大学のV. White氏らが、検討を行った。Psychological Medicine誌オンライン版2020年7月17日号の報告。
1990年~2019年5月1日に公表された研究をMedline、PsycINFO、CINAHL、EMBASE、Cochrane Databaseより検索した。健康状態に慢性的な問題を有する成人における不安、抑うつ、苦痛を軽減することを主要および副次的な目的として実施されたWebベースの心理的介入のランダム化比較試験の英語論文を分析対象とした。結果の評価には、ナラティブ分析および変量効果メタ分析を用いた。
主な結果は以下のとおり。
・以下の主な疾患を含む17種類の健康状態における70件の適格研究が確認された。
●がん:20件
●慢性痛:9件
●関節炎:6件
●多発性硬化症:5件
●糖尿病:4件
●線維筋痛症:4件
・CBT原理に基づいた研究は46件(66%)、ファシリテーターを含む研究は42件(60%)であった。
・すべての健康状態に慢性的な問題を有する患者において、Webベースの介入は、メンタルヘルスの症状軽減により有効であった。
●うつ症状:g=0.30(95%CI:0.22~0.39)
●不安症状:g=0.19(95%CI:0.12~0.27)
●苦痛:g=0.36(95%CI:0.23~0.49)
著者らは「患者自身によるオンライン心理的介入は、健康状態に慢性的な問題を有する患者にとって不安、抑うつ、苦痛の症状軽減に役立つと考えられるが、特定の健康状態に有効かどうかは不明であり、有効性に関するエビデンスは一貫していなかった。明確な結論を導き出すためには、より質の高いエビデンスが求められる」としている。
(鷹野 敦夫)