うつ病治療は進歩しているにもかかわらず、3分の1のうつ病患者は、従来の抗うつ薬では対応できていない。副作用の少ない、より効果的な治療が求められている。ドイツ・フライブルク大学のJohannes Naumann氏らは、うつ病性障害を有する成人において温熱浴がうつ症状を軽減するかを検討した。BMC complementary and alternative medicine誌2017年3月28日号の報告。
うつ病患者において温熱浴が一般的に有用であることが示唆された
ランダム化2アームプラセボ対照8週間のパイロット試験として実施した。ハミルトンうつ病評価尺度(HAM-D)17項目版のスコア18点以上の中等度のうつ病であった安定したうつ病性障害(ICD-10:F32、F33)の外来患者を対象に、週2回の温熱浴(40℃)群またはグリーンライトによる偽介入群に無作為に割り付け、4週間介入を行った後、さらに4週間フォローアップを行った。主要アウトカム指標は、ベースライン(T0)から2週間時点(T1)までのHAM-D総スコアの変化量とした。
うつ病患者の温熱浴効果の主な結果は以下のとおり。
・うつ病患者36例が、温熱浴群17例、偽介入群19例に無作為に割り付けられた。
・intention-to-treat分析では、T1における温熱浴群(温熱浴4回実施後)は、偽介入群と比較し、HAM-D総スコア3.14点の有意な差が認められた(p=0.037)。
著者らは「本パイロット試験で、温熱浴がうつ病患者において一般的に有用であることが示唆された」としている。
(鷹野 敦夫)