PD-L1 発現(TPS≧50%)の転移を有する非小細胞肺がん(NSCLC)1次治療におけるペンブロリズマブ単剤治療は第III相KEYNOTE-024試験の追跡期間11.2ヵ月の解析で、化学療法と比較して有意な無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の改善が示した。欧州臨床腫瘍学会(ESMO Virtual Congress 2020)では、同試験の5年追跡結果を、米国・Sidney Kimmel包括的がんセンターのJ.R. Brahmer氏が発表した。
・対象:転移を有する未治療のPD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLC患者(305例)
・試験群:ペムブロリズマブ200mg 3週ごと(154例)
・対照群:治験担当医が選択したプラチナベース化学療法 4~6サイクル(151例)
・評価項目:
[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)
[副次評価項目]OSなど
主な結果は以下のとおり。
・データカットオフ時(2020年6月1日)の追跡期間中央値は59.9ヵ月であった。
・化学療法群のペムブロリズマブへのクロスオーバーは66.0%(99/150例)であった。
・OS中央値はペムブロリズマブ群26.3ヵ月、化学療法群13.4ヵ月であった(HR:0.62、95%CI:0.48〜0.81)
・5年OS率はぺムブロリズマブ群31.9% 、化学療法群16.3%であった。
・全奏効率(ORR)はペムブロリズマブ群46.1%(CR4.5%、PR41.6%)に対し、化学療法群31.1%(CR0%、PR31.1%)であった
・DORは、ペムブロリズマブ群29.2ヵ月に対し、化学療法群6.3ヵ月であった。
・全Grade治療関連有害事象(TRAE)発現は、ペムブロリズマブ群76.6%に対し化学療法群90.0%、Grade3〜5のTRAEの発現は、ペムブロリズマブ群で31.2%に対し化学療法群53.3%であった。
ペムブロリズマブ単剤治療は、高いクロスオーバー率にもかかわらず、引き続きOSの改善を示している。5年OS率は、30%を超え、化学療法の約2倍であり、かつ持続的な効果を示している。ペムブロリズマブ単剤治療は、PD-L1高発現(TPS≧50%)NSCLCの1次治療において有効な治療方法であることを、この試験結果は示していると、Brahmer氏は述べた。
(ケアネット 細田 雅之)