米国・ベイラー大学のRonan J. Kelly氏は、術前補助化学放射線療法で病理学的完全奏効(pCR)が得られなかった切除可能な食道がん・食道胃接合部(GEJ)がんの切除後の術後補助療法でニボルマブ投与とプラセボ投与を比較した無作為化二重盲検第III相臨床試験であるCheckMate-577試験の結果を欧州臨床腫瘍学会(ESMO2020 Virual Congress 2020)で発表。ニボルマブによる術後補助療法は、プラセボと比較して統計学的に有意な無病生存期間(DFS)の延長を認めたと報告した。
・対象:術前補助化学放射線療法でpCRが得られなかったStageII~III食道、GEJがん(PS 0~1)794例。
・試験薬群:ニボルマブ240mg 2週間ごとに16週間投与後480mg 4週間ごと投与(ニボルマブ群、532例)
・対照群:プラセボ(プラセボ群、262例)
・評価項目:
[主要評価項目]DFS
[副次評価項目]全生存期間(OS)、1年OS率、2年OS率、3年OS率
主な結果は以下のとおり。
・DFS中央値は、ニボルマブ群が22.4ヵ月、プラセボ群が11.0ヵ月で、ニボルマブ群で有意な延長を認めた(HR:0.69、96.4%CI:0.56~0.86、p=0.0003)。
・全Gradeでの治療関連有害事象(TRAE)の発現率は、ニボルマブ群が71%、プラセボ群が46%であった。Grade3/4のTRAEにおよる治療中止はニボルマブ群が13%、プラセボ群が6%であった。
・ニボルマブ群での主な免疫関連有害事象は内分泌関連や消化器症状で、Grade3/4のものはいずれも発現率が1%未満だった。
・EQ-5D-3LによるQOL評価でニボルマブ群はプラセボ群とほぼ同程度だった。
Kelly氏は今回の結果を受けて「対象となった患者集団の治療としては過去数年で初めての前進であり、ニボルマブによる術後補助療法は新たな標準治療として確立される可能性がある」と強調した。
(ケアネット)