岡山大学のYangyang Liu氏らは、高齢者における定期的な身体活動と認知症発症リスクとの関連について評価を行った。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2019年5月2日号の報告。
本検討は、岡山市で実施したレトロスペクティブコホート研究である。日本人高齢者5万1,477人を2008~14年にかけてフォローアップを行った。定期的な身体活動は、健康診断質問票を用いて評価を行った。認知症発症は、介護保険の認知症尺度を用いて評価した。身体活動のカテゴリ別の認知症発症率は、Cox比例ハザードモデル、95%信頼区間(CI)を用いて算出した。
主な結果は以下のとおり。
・7年間のフォローアップ期間中に認知症を発症した高齢者は、1万3,816例であった。
・認知症発症の多変量調整ハザード比は、身体活動の実施が1回以下/週であった高齢者と比較し、2回以上/週で0.79(95%CI:0.75~0.84)、毎日で0.94(95%CI:0.89~0.98)であった。
・身体活動と性別との相互の関連性は有意であった(p<0.01)。
・サブグループ解析における認知症発症の多変量調整ハザード比は、身体活動が2回以上/週の場合、男性で0.76(95%CI:0.70~0.84)、女性で0.81(0.76~0.87)と低いままであった。身体活動が毎日の場合、男性では0.82(95%CI:0.76~0.89)であったが、女性では1.01(0.95~1.07)であった。
著者らは「日本人高齢者における定期的な身体活動は、毎日行っている女性を除き、認知症発症リスクの低下に寄与すると考えられる」としている。
(鷹野 敦夫)